Nandito Ako (24) [Nandito Ako]

Nandito Ako エピソード24


【ホテルの噴水】
ジョシュ:この噴水は、お母さんが死んだときの思い出として僕の人生の一部になったんだ。
ホリー:そんな辛い思い出があっても、まだこの場所に来れるっていうのはいいことだわ。
ジョシュ:うん。だってここは、僕の命を救ってくれたあの女の子に会った場所でもあるから。あの子に、また会えたらいいのに。
ホリー:どうしてまた会いたいの?
ジョシュ:僕の人生を変えたひとだから。
ホリー:ねえ、お願いごとをしよう?わからないわよ、その子にまた会いたいっていう願いが叶うかも。
ジョシュ:そうだね。
ホリー:はい。先にどうぞ。
(ジョシュ、何かを念じてコインを投げる)
ジョシュ:きみの番だ。
(ホリー、何かを念じてコインを投げる。頭痛に襲われる)
ジョシュ:具合が悪そうだね。家まで送るよ。
ホリー:大丈夫よ、ジョシュ。心配しないで。
ジョシュ:顔色が悪いよ。さあ、行こう。

【ホリーの家】
ヤヤ:まあ、なにか悩みがある顔していますね。悪いことでもあったのですか?
ホリー:なんでもない、ヤヤ。ただ、考えてたの・・・。自分と結ばれる運命じゃないひとを欲しがるのは、よくないことかな・・・。
ヤヤ:あなたはいい子です。だから、神さまはあなたのお願いを聞いてくれてるのですよ。いま、あなたはジョシュと知り合えただけじゃなく、一緒にすごす時間を持ててる。ジョシュと話をしたり、肩を抱いたり・・・。
ホリー:ねえ、ヤヤ。お父さんが言ったことがあるの。運命に逆らえないなんて、うそだって。それは凧をあげるようなもの。凧を空高く昇らせるのは風だけじゃない。凧糸を握る、そのひとの腕にもかかっているのよ。
ヤヤ:そうですよ。あなたは、こうなるのをずっと長い間、夢見てたのでしょう?その喜びを、自分で取り上げてしまうおつもりですか?

【ホテルの部屋】
(ジョシュ、回想している)
ジョシュ:僕、すごく幸せだよ、アーニャ。まるで心臓が破裂しそうだ!ほら、わかる?
アーニャ:私も、あなたを愛してる、ジョシュ!
ジョシュ:お金や名声がなくたって、僕は生きていける。でも、きみなしでは、生きていけないんだ!
アーニャ:でも、私があなたと一緒じゃ、生きていけないの!

(ビリーが入ってくる)
ビリー:よお兄弟、またなんか、考え込んでるな?おまえが誰のこと考えてるか、当ててやろうか?ホリーだろ。
ジョシュ:・・・。
ビリー:おっと、違ったか。てことは・・・、誰だろうなあ・・・?もしかして、アーニャか?
ジョシュ:その話はやめよう。話したって無駄だ。もう、彼女とは終わったんだ。いまさら、どうにもできないさ。
ビリー:おまえマジで、終わっちまったと思ってるのか?でもまあ、おまえが心から愛するのは誰かなんて、俺が聞くべきことじゃないけど。重要な問題は、おまえがいつまで、気づかないふりを続けるのかだ。おまえは、自分に対して正しくないことをしている。ホリーに対してもだ。いつまでホリーに期待させ続けるんだ。
ジョシュ:ホリーを愛するのは難しいことじゃないよ。あの子は優しいし、思いやりがある。あの子が僕にしてくれたことは言うまでもない。病院にも会いに来てくれた。
ビリー:それで?
ジョシュ:それに、ホリーは僕のこと好いてくれてる。あの子のことを僕が愛せない理由なんて、どこにもないよな?
ビリー:で、アーニャは?
ジョシュ:アーニャのことはもういいよ。
ビリー:アーニャはおまえのことなんかどうでもいいと思ってると、おまえは思うんだろ?でも、考え直したほうがいいぜ。
ジョシュ:どういう意味だ?
ビリー:俺、見たんだ。アーニャは病院に来てたぜ。あの子の顔は、おまえのことを心配する顔だった。
ジョシュ:なんで僕に会わずに帰ったんだ?
ビリー:なにか深刻な理由があったに違いねえ。でも、アーニャ本人にしか、おまえの問いには答えられないんだ。アーニャと話せって!

【アーニャの家】
ボルタ:アーニャ!アーニャ!
アーニャ:なにゴッドマザー?
ボルタ:テレサ!アーニャ!
テレサ:そんなに急いでどうしたの?
ボルタ:最新の噂、聞いた?
アーニャ:どういう?ゴッドマザー?
ボルタ:新聞で読んだんだけど、あなたのカレシのコンサートが行われるんですって~。おっと、元カレだったわね!でも待って、私があわてたのはそのことじゃなくて、そのコンサートで、ジョシュは新しいカノジョをみんなに紹介するんですってよ。
アラジン:お姉ちゃん、ジョシュの新しいカノジョってだあれ?
ボルタ:こら、詮索しないの!
アラジン:ホリーお姉ちゃんのこと?
アーニャ:かもね。
アラジン:残念だなあ。もしお姉ちゃんがジョシュお兄ちゃんをふらなければ、お姉ちゃんだったのに!
テレサ:アーニャ。あなた、あまりに多くのものを犠牲にしたわね。自分から、幸せに背を向けたのよ。
アーニャ:でも、お母さん。ホリーは友達なの。ホリーが傷つくのを見るのは耐えられない。
テレサ:だからって、自分を傷つけるの?

【ホテルの部屋】
チー:ほとんど準備は済んだわ。コンサートの詳細はここに書いてあるから。もしなにか、変更したり調整したいことがあったら、大至急教えて。
ジョシュ:うん、よさそうだよ。これで問題ない。ありがとう、チー!きみって最高だなあ!
チー:おべっかいばっか!
カーラ:本当よ、チー。どうもありがとう。それに、私の超ハンサムな息子にも、ありがとう!あなたってほんといい子だわ!わかってるわよね、私、あなたが誇らしい。あなたみたいな息子がいて、私はほんとうに幸せものだわ!
ジョシュ:ありがとう、お母さん。お母さんのためなら僕はなんでもするって、わかってるよね?そもそも、お母さんがいなかったら、僕はこの世にいないんだから。
ビリー:よおッ!コンサートで、おまえは愛する女性のために歌うんだ。なかなかいいよなあ。チーのアイデアだ。きみがこんなにロマンチックだったとは、知らなかったぜ。
チー:私をなんだと思ってるの?かたぶつ?じつは、このアイデアは、ファンから得たのよ。みんな、あなたの新しい恋人に死ぬほど会いたがってる。だから、コンサートで紹介するのが一番かなと思ったの。
ビリー:でも問題は、おまえは誰に歌うのか?ってことだ。ホリーか?それともアーニャか?
ジョシュ:うーん・・・、わからないよ。
ビリー:アーニャをコンサートに招待したらどうだ?アーニャとの仲を修復するいい機会じゃないのか。

【アーニャの家】
ボルタ:アラジン、私と一緒にいらっしゃい!美容院に取りに行くものがあるの。さ、一緒に行きましょ!あとで戻るわ、じゃあね~。
テレサ:ねえアーニャ、田舎の家に帰るっていう、あの話を進めたらどうかしら?都会のマニラのあわただしさから離れて、平穏な土地で、一からやり直すの。あなたの奨学金のことは心配だけど。あきらめるなんて残念過ぎる。
アーニャ:でもお母さん、それで私たちの生活がよくなるなら、それでもかまわない。
テレサ:本当に?
アーニャ:私たちにとって、そのほうがいいのかも。いちばん大切なことは、3人が一緒にいることだもん。
テレサ:ありがとう、わが娘。あちらに行けば、もう私たちに首を突っ込むひとたちはいなくなるわ。
パブリート:ごめんくださいまし。こんばんは。
アーニャ:パブリートさん、入って!
パブリート:どうも、おばんです。こんな遅くにすんませんです。このチケットをあなた渡すよう、ジョシュさんから頼まれたんで。
テレサ:チケット?なんの?
パブリート:コンサートの招待券です。
アーニャ:ああ、パブリートさん。ごめんなさい。私たちは行けそうにもないんです。用事がたくさんあるので。
パブリート:なるほど。でも、そのチケットは持っててくださいますかネ?万が一、来られることになったら、来てくださいまし。じゃ、ワタシは行きますだ。
アーニャ:ありがとう。
パブリート:では失礼しまス。
テレサ:ありがとう。

【コンサート会場】
(観客が入場)

【ホリーの家】
マルガレート:さあ、服を着替えて、出かけるしたくしましょう。あなた、とても素敵になるわよ!
(ホリー、頭痛がする)
マルガレート:ホリー、どうしたの?
ホリー:お母さん、頭が痛い。
マルガレート:薬は飲んだの?
ホリー:うん。
マルガレート:ヤヤ、薬を持ってきて!行かないほうがいいかもしれないわね。
ホリー:お母さん、ううん。私、ジョシュのコンサートに行かないと。
マルガレート:でも・・・。

【アーニャの家】
アラジン:ねえ、僕たち、ほんとに行かなくちゃだめなの?
アーニャ:そうよ。あんたは行きたくないの?
アラジン:友達と別れたくない。あっちへ行っても、楽しくないかも。
アーニャ:そんなことないわ。あっちに行けば、新しいお友達ができるわよ。それにアラジン、いちばん大切なことは、もうお母さんにいじわるする人がいなくなるってことなの。
アラジン:ほんと?!
アーニャ:そうよ。だから、早く荷造りしなさい!そしたら早く出発できるから。
(アラジン、アーニャの時計に気づく)
アラジン:あれ?これ、お姉ちゃんの?
アーニャ:そうよ!かして!
アラジン:その半分を、ジョシュお兄ちゃんが持ってたよ!
アーニャ:ジョシュが!?

【アーニャの家】
ボルタ:アーニャ!どうしたの?!いったいなに?テレサに呼ばれたのよ!あなた、自殺をほのめかしてるとか?!
アーニャ:ゴッドマザー!いつも冗談ばっかり!
ボルタ:でもお、ほんとになんなの?
アーニャ:あの火事で、私を救ってくれた男の子が誰なのか、わかったの!
ボルタ:きゃああああ!どこ?その男の子はどこ?来てるの?来てるの?!
アーニャ:これよ。
ボルタ:これが、その子?
アーニャ:違うわ、ゴッドマザー!これは、その火事のときに壊れた時計の半分なの。アラジンによると、ジョシュがまったく同じバンドの時計の半分を持ってるんだって!
ボルタ:待って!ジョシュが、その男の子なの!?
テレサ:落ち着いてよ。
ボルタ:ウソおッ、ついにやったわ!
テレサ:ちょっと待って。ジョシュの時計が同じものだとは限らないでしょ。ただ似てるだけってこともあるわ。
アーニャ:アラジンが言うには、ジョシュの時計も火事のときに壊れたんだって。
テレサ:そうなの?
ボルタ:お姉ちゃんの言ってることは本当なの?
アラジン:そうだよ、ボルタおばちゃん!
テレサ:じゃあ、本当なのね?
アーニャ:ジョシュの時計を見るまでは、100%の確信はないわ。
ボルタ:じゃあ、ジョシュに会わずに、どうやってはっきりさせるっていうの!?
テレサ:ねえアーニャ、私にはもう、否定しようがないわ。これだけのことが、あなたたちふたりの運命を結び付けてるのよ。
ボルタ:その通り!
アーニャ:でも、ホリーはどうなるの?
テレサ:この時計の出来事は、ずうっと前に起こったことなの。あなたがホリーに会うよりも、ずっと前のことだわ。だから、命を救けてくれた男の子がジョシュかもしれないという、真実を確かめるチャンスを逃しちゃだめ。
ボルタ:そうよおお。考えるまでもないわ。いますぐ、確かめに行くのよおッ!

【コンサート会場楽屋】
ビリー:よお兄弟!大舞台への準備はいいか?アーニャは来てるか?
ジョシュ:わからない。アーニャは来ると確約しなかったとパブリートは言ってた。
ビリー:もし、アーニャがおまえを愛してるなら、来ないわけないぜ。
ジョシュ:むなしい期待は持ちたくないよ。ふたりにもう未来はないって、僕は納得しはじめてる。一度は心が通じあったのは確かかもしれないけど、だからって一生続くとは限らないんだ。
チー:じゃあ、準備はいい?あと5分で始まるわ。
ジョシュ:僕は準備オッケーだ。
チー:じゃあ、行きましょ。ジョシュにひとりの時間をあげないと。
ビリー:じゃ、がんばれよ!
ジョシュ:ありがとう!
チー:がんばって!
(マルガレートが歩み寄る)
マルガレート:ジョシュ。
ジョシュ:あ、ホリーのお母さんだよね?来てくれてよかった。
マルガレート:あなたの幸運を祈りに来たの。それから、お願いごとがあって。
ジョシュ:いいですよ、なに?
マルガレート:ホリーは、もうすぐ死ぬの。
ジョシュ:え!?
マルガレート:脳腫瘍だと診断されたの。薬で治療を続けてきたけど、効果がなくなってきた。あの子は、愛されることなくずっと生きてきたの。私が、愛してあげなかったのよ。私はとても後悔している。ジョシュ、あなたに、お願いしなくてはならないの。どうかあの子に、大切にされ愛されているという実感を与えてあげて。私は、あの子に埋め合わせをしたいの。無理なお願いだとは、わかっているわ。でも、どうか、お願い・・・。

【コンサート会場】
ジョシュ:みんな、元気か!
(観客の歓声)
ジョシュ:このチャリティを支援するために来てくれて、みんなありがとう!僕と、そしてみんなに支援してもらえる子どもたちにとって、こんなに嬉しいことはない。今夜はみんなで、音楽と人生と、そして愛をたたえよう!
(”Wherever You Are”を歌う)

【コンサート会場入り口】
係員:チケットをお出しください。
アーニャ:あ、しまった!
係員:申し訳ありませんが、チケットがないと入れません。
アーニャ:チケットは持ってるんです。でも、家に忘れてきてしまって。じつは、私はジョシュの友達で、ジョシュがこのコンサートに誘ってくれたんです。
係員:本当に申し訳ないですが、チケットを見せていただかないことには・・・。
アーニャ:でも、ジョシュと大切な話があるんです。だから、なんとか入れてくれませんか?
係員:すみません、無理です。

【コンサート会場】
ジョシュ:この特別な瞬間に、ともにいてくれて、みんな、ありがとう。(歓声) 「愛」。たったひとことの言葉だけど、世界でもっとも大切なものだ。愛はそこらじゅうにあふれている。でも、真実の愛は、簡単には見つけられない。真実の愛を見つけることなく生き、死んでいくひともいる。本当は、もう見つけているのかもしれない。でも、失うまで、それに気づかない。だから、真実の愛を見つけたなら、しっかりつかまえて、絶対に手放してはいけない。ぼくなら、そうする。

【コンサート会場入り口】
アーニャ:あの、どうかお願いします。中に入れてください。
係員:すみませんが、本当に無理なんです。
パブリート:アーニャさん?ここでなにをしているんで?
アーニャ:私、チケットを持ってくるの忘れちゃったんです。どうか中に入れてくれるよう、手配してくれませんか?パブリートさん。
パブリート:このひとはワタシが引き受けますから。さあ入って、アーニャさん!

【コンサート会場】
ジョシュ:さあ、みんなとの約束だ!僕の大切なひとを、紹介します。
(ホリーの手をとって舞台にあがる)


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