Nandito Ako (11) [Nandito Ako]

Nandito Ako エピソード11


【ホリーの家】
マルガレート:私がこうしろと言ったら、あんたは従いなさい!
ホリー:お母さん!話を聞いて!お母さん!お母さん!
マルガレート:言うことを聞かないと・・・!
ホリー:ヤヤ、ヤヤ!
マルガレート:ここで反省してなさい!
(マルガレート、部屋に鍵をかける)
ヤヤ:マルガレートお母さま、どうかあなたの娘を許してあげてくださいまし・・・。
マルガレート:口を出さないで!自分の娘は自分でしつけるわ!あの子が心を入れ替えるまで、部屋から出しませんからね!
ホリー:お母さん!!

【アーニャの家】
アーニャ:アラジン!
アラジン:お姉ちゃん。
アーニャ:どうしたの?
アラジン:別に・・・。でも、きょう学校で、お父さんのことについてみんなで話したんだ。それで、お父さんのことを書く宿題が出たんだよ。ぼく、どうすればいいかな。お父さんの顔なんか、ぼく知らないし、どこにいるのかも知らない。いつか会えるのかさえ、わからないもん・・・。
アーニャ:もう考えちゃだめよ、いい?そんなに、しょんぼりしないで。先生には私から話をしとくから。うちの事情を先生もわかってくれるわよ。
アラジン:お姉ちゃん、このひとは、あの有名な歌手のひとじゃない?あのコンサートやるひと?
(ジョシュ、うなづく)
アラジン:ぼくの言ってること、わかるの?
ジョシュ:うん、タガログ語は理解できるけど、しゃべれないんだ。
アラジン:ぼくはアラジン。
ジョシュ:こんにちは、アラジン。僕はジョシュだ。
アラジン:お姉ちゃん!なんでこのひとがここにいるの?
アーニャ:明日の朝になったら説明するから。いろいろあったのよ。それに、このことは誰にも内緒よ、わかった?お母さんはどこ?
アラジン:クラブへ戻ったよ。
ジョシュ:僕のお母さんも昔、クラブで働いてたんだ。歌手だったんだよ。
アラジン:僕のお母さんは歌手じゃないよ、ホステスだ!
アーニャ:ちょっと、ちょっと!(アラジンの口をふさぐ)

【通路】
ボルタ:たぶんあそこに行けば、タクシーが拾えるわよ。ほら、こっち来て。
マンド:ボルタ、待ってくれ。
ボルタ:なに?
マンド:俺を助けてくれないかな?
ボルタ:助けるですって?私がNGOにでも見える!? なんて、ほんの冗談よ。
マンド:ボルタ、俺が助けを求めるのは、これっきりだから。
ボルタ:いいけど、なんなの?
マンド:俺、もっとましな仕事が欲しいんだ。きみになら助けてもらえるかと思って。
ボルタ:そうねえ、あなた、マニキュアとかペディキュアはできる?ネイルアーティストとしてなら雇ってあげてもいいわよお。
マンド:ボルタ、マジに頼むよ!
ボルタ:なんなのお?
マンド:俺はもう、日雇いみたいな仕事には興味ないんだ。金を貯めたいんだよ。そしたら、アーニャの相手にふさわしくなれるから・・・。
ボルタ:アーニャ?まだアーニャのこと言ってるの?アーニャのことは忘れなさい、って言ったじゃないの。アーニャとあんたは、あわないの!アーニャのことは忘れなきゃだめ!
マンド:でも、アーニャのことを愛してるんだよ!
ボルタ:私じゃあ、だめ?すべて捧げるわよ・・・。だから私を受け入れて・・・。私のこの、か・ら・だ。
マンド:俺が欲しいのは、仕事だ!頭痛じゃねえ!
ボルタ:んまあ、気が立ってるのねえ。好みがうるさいこと!行きましょ!タクシー!

【アーニャの家】
アラジン:お姉ちゃん、お姉ちゃん!
アーニャ:寝なさいってば、アラジン。
アラジン:ジョシュお兄ちゃんのこと、心配じゃないの?マットレスなしで寝るなんて、慣れてないだろうから、眠れないかもよ。
アーニャ:ねえ、そんな心配はしなくていいの。それに、誰がジョシュをお兄ちゃんて呼べなんて言った?ジョシュはもう大人なんだから、自分でなんとかするわよ。さあ、もう寝るのよ。

【ジョシュの寝室】
(ジョシュ、暑くて眠れず何度も寝返りをうつ。ベッドを抜け出す)

【台所】
(ジョシュ、暗がりで水を飲む。テレサがほうきを持って襲いかかかる)
テレサ:どろぼう!どろぼう!近所のみなさん!助けてええ!どろぼうよおお!!
ジョシュ:僕はどろぼうじゃない!どろぼうじゃない!
アーニャ:お母さん、お母さん!やめて!その人はどろぼうじゃないから!
テレサ:これ、ジョシュ・ブラッドリーじゃないの? うそ!ジョシュ・ブラッドリーだわ!!うちにジョシュ・ブラッドリーがいるう!うちにジョシュがいるわよ、ねえ!
アーニャ:お母さん!
テレサ:なによ。
アーニャ:静かにしてくれない?ちょっと落ち着いて!
ジョシュ:驚かしてすみませんでした。
テレサ:いいの、いいの、気にしないで。私のほうこそ、謝るわ。どろぼうかと思ったから、思いっきり叩いちゃった!ごめんねえ!傷とか、アザとか、できてない?
ジョシュ:だいじょうぶ、心配しないで。
テレサ:あなたってば、なんてかわいいのお!いったいなんで、セレブが我が家に?ねえジョシュ、私、あなたの大ファンなのよ。あなたの歌ときたら・・・ああもう、素敵!(水を飲んで) これはただの夢かしら?私、目が覚めてる?
アーニャ:お母さん、ごめんなさい。お母さんの許可を得るヒマがなくて。ジョシュは今夜、泊まるとこが必要なの。叔父さんから逃げてきて、離ればなれになったお母さんを探しに行くのよ。
テレサ:叔父さんから逃げてきた?お母さんは離ればなれ?
アーニャ:そう。
テレサ:まあ、メロドラマのような人生ね!
アーニャ:お母さん!もう明日にしてくれない?あとで全部、説明するから。
テレサ:そうよ、ちゃんと私にわかるように説明してよね。
アーニャ:わかったわよ、あとでね!だから、このことは秘密にするって約束して。もし誰かに知られたら、人が押し寄せて大変なことになるから。
テレサ:わかってるわよ、娘よ!この家をもみくちゃにされちゃあ、かなわないからね。これは私たちの最高機密ね。(ジョシュを見て)あなたって、ほんとかわいいっ!じかに見ると天使みたいっ!自分でもわかってるんでしょ!?
近所の人:テレサ!テレサ!助けを呼んだか!?
アーニャ:早く、彼を隠して!私がなんとかするから。

【ホリーの家】
ホリー:ヤヤ、お母さんはもう寝た?
ヤヤ:私は心配ですよ。あなたがジョシュを助けると、お母さんとの確執がますます悪化していくようで。もうジョシュのことは、ほうっておいたらいかがです?
ホリー:ヤヤ、それはありえないわ。ジョシュは私たちを頼りにしてるの。ほかに誰も、頼れるひとはいないのよ。私、ジョシュが気の毒なの。それに、彼の気持ちもわかる。いまジョシュはどうしてるかしら?なにも問題なければいいけど・・・。
ヤヤ:心配いりませんよ。アーニャがちゃんと見ててくれてますって。いずれはまたジョシュに会えて、あなたの不安も解消されるでしょう。
ホリー:そうだといいけど・・・。

【アーニャの家】
テレサ:ジョシュ、このベッドを気に入ってくれればいいけど!ちょっとばかし古くて、もしかしたら臭いかもしれないけど、でもこれがうちの精いっぱいなのよ。どうか我慢してね。
ジョシュ:じゅうぶんですよ、僕はどんな場所でも寝られるから、ぜんぜん気にしません。あなたたちの迷惑にはなりたくないです。どうもありがとう。
テレサ:タガログ語が話せるの?このひと、タガログ語わかるわけ?
ジョシュ:ちょっとだけ。
アラジン:うん、お母さん。ジョシュはタガログ語がわかるんだよ、ねえ、ジョシュお兄ちゃん?!
テレサ:ジョシュはタガログ語がわかるって早く言ってよ!私の英語能力を使い果たすとこだったじゃないの!なんだもう!あなた、タガログ語がわかるんだ!?いいわ、ジョシュ。じゃあ、ここでくつろいでね。なにも心配はいらないから、リラックスしてちょうだい。私のことは、ティタ(おばさん)と呼んでね。わかった?
ジョシュ:僕を泊めてくれて、ありがとう、ティタ。
アーニャ:お母さん、いったいなにごと?なんで寝具がぜんぶおニューなの?
テレサ:あたりまえじゃないの。お客さんなんだから、いちばんいいものをお出ししてるのよ。ジョシュは歌手なんだから!国際的に有名な!
アーニャ:もう、余分な洗濯ものが増えるじゃない!それに、すでにあるものを使えばいいのに。
テレサ:アーニャ、やめなさい。お客さんをお迎えするときは、おもてなしするものなの。そんなに洗濯するのがいやなら、私がするからいいわ!(ジョシュへ微笑んで)ジョシュ~、さ、もう寝る準備をして、ゆっくり休んだらいかが?お疲れでしょう。さ、あんたたちはもう行って!寝ましょう!お休みなさい!
ジョシュ:ありがとう。
テレサ:いいのよ!

【ホリーの家】
友人:まじに?!娘さんが男を家に連れてきたの?
マルガレート:私だって信じられないわよ。でも、この目で見たんだから。ああもう、こんなこと、絶対にあってはならないわ。私たちの計画が台無しになってしまう。
友人:なにか手を打った方がいいんじゃない?そろそろ、私たちの子どもを引き合わせておいたほうがよくない?
マルガレート:そうね。もしあの子を誰かと結婚させるとしたら、もちろんあなたの息子だろうから。
友人:そうよね。私たちの子どもがくっつけば、私たちの事業も安泰だものねえ。
マルガレート:さっそく、どうにかしましょう。じゃあ乾杯!

【アーニャの家】
アーニャ:ちょっと!(ジョシュを小突く)
ジョシュ:アーニャ・・・。
アーニャ:この色白のバカ男!あんたのセレブの特権を利用して、私のお母さんの善意に付け込まないで!特別な待遇なんていらない、って言ったくせに!
ジョシュ:きみのお母さんの温かいもてなしは、ありがたく思ってるよ。でも僕は、誰に対しても、特別な待遇を強いてなんかいない。
アーニャ:あんたのお得意なその、いかにも僕は純真ですって真似はやめてくんない?あんたにはイライラするわ!
ジョシュ:どうしてきみは、僕にそんなふうに当たるんだ?着ぐるみのこと、根に持ってるのか?だったらご心配なく!代金は払うから!いくらなのか言ってくれ!
アーニャ:ふうん、そんなにお金を持ってるなら、いったいどうして私や私の友だちに迷惑をかけるわけ?探偵でも雇ってお母さんを探したらどう?!そうすれば、他人に迷惑かけなくて済むのに!!

【ホリーの家】
ホリー:アーニャ・・・、早く電話に出て・・・。
マルガレート:いったい誰に電話してるの?あの恋人?
ホリー:お母さん・・・。
マルガレート:電話をよこしなさい。渡しなさい!(携帯を奪う) 携帯は禁止します。私の決めたルールに従うのよ。そうしないと、いつだってあなたをアメリカへ送ってやるんだからね。だから、襟を正しなさい!

【アーニャの家】
(ジョシュが家を出ようとする)
アーニャ:ちょっと!待って!外に出ちゃだめよ!あんたになにかあったら、私がホリーに言い訳がたたなくなる!
ジョシュ:僕は誰のお荷物にもなりたくないんでね!さよなら!
アーニャ:芝居がかった真似はやめてくれる?さっさと部屋に戻ってよ!
ジョシュ:自分の面倒は自分で見るよ!
アーニャ:そんなの無理よ!外に出て刺されたいの?
(もみあって見つめあう)
アラジン:エへン!なんか、ふたりで盛り上がってるね!
アーニャ:もう、ゴタゴタ言うのはやめて。みんなもう寝たいんだから、だから部屋に戻ってちょうだい!
(ジョシュ、部屋に戻る)
アラジン:お姉ちゃんは、ほんとはジョシュのこと好きなんでしょ?ふたり、お似合いだよ。

【アーニャの寝室】
(アーニャ、ジョシュの夢を見る)
アーニャ:なんで?どうして私が、あのバカの夢を見るの・・・?

【ホリーの家】
ヤヤ:ホリー、おやつですよ。
ホリー:ヤヤ、ここを出る手助けをしてくれる?
ヤヤ:でも、どこへ行くのです?

【アーニャの家】
(アーニャがホリーに電話するが、出ない)
アラジン:お姉ちゃん、誰にメールしてるの?
アーニャ:ホリーよ。きのうの夜、電話に出そびれちゃったの。きょう、ホリーはあの色白の友だちを迎えにくるはずなんだけど、電話しても出ないし。
アラジン:そしたら、ホリーが来るまで、ジョシュお兄ちゃんは僕たちと一緒にいたらいいや。
アーニャ:だめなの。あの男はここに残るわけにいかないの。
アラジン:どうして?どうしてお姉ちゃんは、そんなにジョシュお兄ちゃんを追い出そうとするの?
アーニャ:ジョシュは面倒なことを起こすだけだからよ。私たちはもう、そうじゃなくてもじゅうぶん大変なんだから、もうこれ以上の面倒はいらないわ。
アラジン:これって、映画みたいなやつ?お姉ちゃんは、ほんとうはジョシュお兄ちゃんが好きだけど、認めたくないだけ。だから、ジョシュを遠ざけようとするんだ。
アーニャ:アラジン!あんたがそんなこと考えるには10年早いわ!それに、私はジョシュのことなんか好きにならないもん。
アラジン:どうして?お姉ちゃん。ジョシュはハンサムだし、いい歌手だよ!
アーニャ:だからって、なに?ほかにはなにか取り柄はあるの?あいつはランパ(不器用/不格好/要領が悪い)だし、パワーがないし、腰抜けよ。あんなひよっこ!あんなの、私のタイプじゃない。
アラジン:ずいぶんと手厳しいこと言うねえ、お姉ちゃん。

【アーニャの家の外】
アラジン:お兄ちゃん!お兄ちゃん!ねえ、もうお腹すいた?お母さんがもうすぐ、食べ物を持って帰ってくるから。
ジョシュ:アーニャはどこ?
アラジン:あっち。まだ水を汲んでる。
ジョシュ:ランパって、どういう意味?
アラジン:うーん、英語でなんて言うのかなあ。えーと。そうだ、ぼくのこと、見てて!見て、判断してね。(つまずいて転んでみせる)これが、ランパだよ!
ジョシュ:僕は、ランパなんかじゃないッ!!
アラジン:ジョシュがランパだなんて、ぼく言ってないよお!
ジョシュ:僕はアーニャが思ってるような男じゃないってこと、アーニャに証明しなくちゃ!
アラジン:お兄ちゃあ~ん!

【ホリーの家】
ヤヤ:ねえ、ホリー。私は、ホリーにはせいいっぱい幸せになって欲しいんですよ。だからって、面倒なことになるのを許すことはできません。
ホリー:ヤヤ、面倒なことになんてならないわ。ただ、アーニャと話しをしないといけないの。お願い。
ヤヤ:こうするのはどうです?固定電話をお使いなさい。私がお母さまを見張ってますから。
ホリー:そうする。

【アーニャの家】
(アーニャが水汲みをしてるとこにジョシュが来る)
アーニャ:ここでなにしてるの?外に出ちゃだめだって私、言わなかった?
ジョシュ:手伝うよ。
アーニャ:自分でできるわ。誰かに気づかれる前に、家の中に入ってちょうだい!
ジョシュ:手伝う、って言っただろ。僕に運ばせろ。
アーニャ:いいから!そんなことしなくていいから、放してよ!
(水がアーニャにかかってびしょ濡れになる)
ジョシュ:あははは。
アーニャ:見てよ!こんなになっちゃったじゃない!!(ジョシュに水をかける) いったいあんたがどう育てられたのか、なんでそんな態度とるのか、私にはまったくわからないわ!
ジョシュ:悪気はなかったんだよ!ただ、きみを手伝って、僕がランパじゃない、ってこと証明したかっただけだ!


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