Nandito Ako (10) [Nandito Ako]

Nandito Ako エピソード10


【道】
ジョシュ:まるできみは天からの恵みだ。僕がどれほど嬉しいか、きみにはわかりっこないよ。
ホリー:あなたが喜ぶのを見ると、私も嬉しい。
ジョシュ:きみがいてほんとうによかった。僕のために、いろいろありがとう。
ホリー:さ、バタンガスへ行く準備をしましょう!

【ホリーの家】
ホリー:ミレーヌさんがくれた住所に行くには、地図があったほうがいいよね。そうすれば、もし私たちがはぐれても、行き先がわかるし。見て、ここ。ここに行くの。この町にあなたのお母さんがいるはず。このバタンガスにある島のどこかに違いないわ。あなたのお母さんはすごく幸運ね。だって、あなたにこんなに愛されていて、けっして見捨てられなかった。
ジョシュ:きみのほうがもっと幸運だよ。だって、お母さんと一緒にいるだろ。
ホリー:でも、私のお母さんは、私のことなんかどうでもいいの。私は、姉のオードリーみたいにいつも気にかけてもらったり、褒めてもらったりしたことない。・・・・ああもう、早くこれ終わらせて、出かける準備しなくちゃ!

【クラブ】
同僚:テレサ!戻れてよかったわね!心配してたのよ。
テレサ:心配してくれてありがとう。だいじょうぶよ。仕事を見つけるのは大変だったけど、ジェーン・ママがこのあたりのクラブのオーナーたちと知り合いだったから。
同僚2:あのことは、あの女性客のほうが悪かったのよ。もう二度とここに来させない。もし来たら、とっちめてやる。
テレサ:あの人のことはもういいよ。神さまがなんとかしてくださるはずよ。
同僚:これ、あなたを少しでも助けようと、寄付を募ったの。
テレサ:ほんとうに、どうもありがとう。
ジェーン・ママ:(お金を奪って)よこしなさい!
テレサ:でも、ジェーン・ママ・・・。
ジェーン・ママ:なによ?これだけじゃ、あんたがあの客とケンカしたときの後始末や壊したものの弁償にもまだ足りないよ!
同僚:ジェーン・ママ、それはテレサにあげてください。
ジェーン・ママ:テレサにあげろだって?あんたもクビになりたいのかい!さあ、出てお行き!出てけ!
(テレサ、店を出ていく)
ジェーン・ママ:あんたたち、なに見てんのよ!さっさと消えなさい!

【ホリーの家】
ホリー:(ジョシュの手をひいて)早く!お母さんに見つかっちゃう!
ヤヤ:ホリー?
ホリー:ヤヤ・・・。
ヤヤ:んまあ、ジョシュ・ブラッドリーだわ!!なんでこの人がここにいるの?
ホリー:ヤヤ、あとで説明する!お母さんが来るまえに、家を出なくちゃ!
ヤヤ:どこへ行くのですか?
(マルガレートが車から降りてくる)
ホリー:お母さんだ。私の部屋に戻ろう!
(ホリーがつまづく)
ジョシュ:だいじょうぶ!?
(ジョシュ、ホリーを担いで運ぶ)
ヤヤ:どうしてジョシュがここにいるのです?
ホリー:ヤヤ、あとで説明するから!お母さんには、私はひとりでいるってことにしておいて!

【アーニャの家】
(テレサがアーニャの子どもの頃の写真を見てる)
ボルタ:あら、どうしたの?
テレサ:なんでもない。ただ、子どもたちのことが心配で。私にはもう仕事がないし、私たち、どうなっちゃうのかしら。子どもたちには学校をやめてほしくないの。
ボルタ:やめるですって?どうしてそんなふうに考えるの?誰もやめさせたりなんかしないわ。神さまはお恵み深いお方だもの、見てよ、あんなかわいくて優しい子どもたちにあなたは恵まれた。なにが不足だっていうの?
テレサ:私の赤ちゃんが女の子だってわかったとき、私、怖かった。この私みたいになるんじゃないかって。
ボルタ:私のゴッド・チャイルド、バングスを見るのよ。強くて、賢くて、美しい子だわ。まるで、ゴッド・マザーのボルタみたいに!ねえ、楽観的になりなさいな。悲観的なのはだめ。子どもたちと、エイエイオーでがんばるのよ。
テレサ:そうよね。
ボルタ:あの子とはちゃんと話したの?
テレサ:まだよ。ほら、わかるでしょう?あの子は、自分でなんとかできるうちは、ひとを頼ろうとしないの。
ボルタ:ほんとに、あなたは子どもたちに愛されてるわね。それでじゅうぶん。ほら、笑って!
テレサ:わかってる。私は恋愛には運がなかったけど、世界一、幸せな母親だわ!
ボルタ:んもう、あなたのせいで、泣きそうよ。

【ホリーの家】
ヤヤ:奥さま、コーヒーお飲みになりますか?お淹れしましょうか?
マルガレート:コーヒーならもう飲んだわ。ホリーはどこ?
ヤヤ:お部屋です。眠ってらっしゃいます。
マルガレート:ホリーと話があるの。
ヤヤ:奥さま、お料理を作ったのですが、味見してみますか?
マルガレート:ちょっと、なにか隠してるんじゃないの?ホリーがまたなにかやったの?
ヤヤ:そんなこと、ございません・・・。
マルガレート:ならどうして、私を通そうとしないの?どきなさい。(ドアをノックして)ホリー!開けなさい!

【事務所】
テレビ:業界内のうわさによると、人気ポップスターのジョシュ・ブッラドリーはアメリカへ戻っていないとのことです。また関係筋の話では、この若い歌手は現在行方不明とのことです。真偽のほどはいかに?
スティーブ:ちくしょうッ!!
チー:いったいなんなの?
スティーブ:甥っ子の失踪の件は外部に漏らすなと言っただろう!
チー:漏らしてないわ!
スティーブ:じゃあなんでニュースに出てるんだ!?いまやってたぞ!誰がマスコミに流してるんだ?
チー:知らないわよ。あなた?
パブリート:違いますヨ。わしは芸能界は好きですが、芸能界がわしを好きじゃないっスから。
ビリー:俺を見ないでくれ。なにも知らねーよ!
スティーブ:もう、頭がおかしくなりそうだ・・・。

【ホリーの家】
マルガレート:ホリー!ドアを開けなさい!あなた、なにか隠してるの?ホリー!
ホリー:ジョシュ、ここへ隠れてて!(ジョシュをベッドの下へ)
マルガレート:ホリー、開けなさい!なにか隠してるんでしょ!
ホリー:(ドアを開けて)お母さん。
マルガレート:なにか隠してるわね?
ホリー:お母さん!
マルガレート:(ジョシュを見つけて) この男はだれなの!立ちなさい!
ジョシュ:すみません、なにも悪いことするつもりはなかったんです。
ホリー:お母さん、やめて!
マルガレート:あんたがなにか企んでるってことくらい、わかってたわ。
ホリー:お母さんが考えてるようなことじゃないわ!
マルガレート:あんたにはもう、うんざりよ!(ホリーを叩こうとする)
ジョシュ:待って!僕のせいでホリーをぶたないでください!
 
 

【ボルタのヘアサロン】
ボルタ:私のゴッド・チャイルド・・・、私の美容院が繁盛してれば、あなたとあなたのお母さんを雇ってあげるのに。でも、見て。うちもぜんぜんだめなのよ。水道代と電気代を払うだけでせいいっぱいなの。
アーニャ:いいの、わかってる。私たち、仕事見つけるからだいじょうぶ。そしたらホリーにも返せるし。
ボルタ:あなたのお友だちはお金持ちなんでしょ?だったら、すぐに返さなくてもいいんじゃない?
アーニャ:ゴッド・マザー、そんなの気が引けるわ。ホリーにそんなに借金したくない。それに、私がホリーの親切心に付け込んでると人に思われたくないもの。
ボルタ:まあねえ・・・。

【ホリーの家】
ジョシュ:僕のせいなんです!僕が、部屋に入れてくれるようホリーに強要したから!でも、ホリーはなにも間違ったことしてない!申し訳ありませんでした!
マルガレート:私の家から出て行きなさい。
ジョシュ:説明させてください。
マルガレート:私の家から、出て行くのよ!
ジョシュ:説明させて!
マルガレート:いいえ!出て行くのよ!
ホリー:お母さん!
マルガレート:あんたはここにいなさい!(ホリーを叩く) ここにいなさい!
(ホリー、部屋を出て行く)
マルガレート:ホリー!ホリー!!

【ボルタのヘアサロン】
(携帯が鳴る)
アーニャ:もしもし?・・・どうして?なにがあったの?・・・わかった、待ってて。今からそっちに行く。
ボルタ:だれなの?
アーニャ:ホリーよ。私の助けが必要みたい。
ボルタ:どうして?なにが起きたの?
アーニャ:ゴッド・マザー、私行かなくちゃ。
ボルタ:気を付けてね、バングス!
アーニャ:わかった。

【公園】
ホリー:さっきはありがとう。
ジョシュ:きみが僕のためにしてくれたことを思えば、なんでもないよ。お母さんと揉めてほしくない。
ホリー:いいの、もう慣れっこだから。家に戻ったらお母さんにちゃんと説明する。いまは、あなたを手伝うことのほうが大事だわ。
ジョシュ:きみには、感謝してもしたりないよ。
ホリー:どうってことない。あなたの笑顔でじゅうぶん報われるわ。
ジョシュ:僕は、ひとりでお母さんを探しにいったほうがいいと思う。バタンガスへの行き方を教えてくれれば、あとはなんとかする。
ホリー:道がわからなくて、迷子になっちゃうわよ。
アーニャ:ホリー!なんでまだここにいるの?なにか悪いことがあったの?
ホリー:なにもないけど、ただちょっと家でゴタゴタして。ジョシュがお母さんに見つかって、それでアーニャに助けてもらおうと思って電話したの。ねえ、アーニャの家にジョシュを泊めてあげてくれる?今夜ひと晩だけでいいの。ただ行って寝るだけ。
アーニャ:うそでしょ?だって、ホリー・・・。
ホリー:アーニャ、あなただけが頼りなの、わかるよね。あなたにしか頼めない。お願い、アーニャ。
アーニャ:ホリー・・・。あなたを助けたくないわけじゃないの。でも、うちにはなんにもないのよ。ジョシュは、ツヨやカンコンなんてきっと食べないでしょ。それに、私たちがどんなとこに住んでるか、知ってるでしょ?もしかしたら、ジョシュは不満を言うかも。
ホリー:なら、食料を買うお金を渡すわ。お願いアーニャ、ひと晩だけだから。明日になったら、私がジョシュを連れて行く。
ジョシュ:ホリー、いいんだ。アーニャには無理なお願いだってわかってるから。どこか、泊まる場所を探すよ。
ホリー:だめ、ジョシュ。アーニャと一緒なら安全だから。アーニャ、お願い、ひと晩だけ。もしジョシュになにか悪いことが起きたら、いやでしょう?

【事務所】
(携帯が鳴る)
チー:スティーブに違いないわ!
ビリー:なにか進展あった?おい、電話が鳴ってるぞ。
チー:出てよ。
ビリー:きっとスティーブなんだぜ。もしもし?
ジョシュ:ビリーか?僕だ、ジョシュだ。
ビリー:おいおい!いまどこにいるんだ!?こっちは大変なんだぞ!
チー:いったいどうしてたの?心配したのよ!いまどこ?迎えに行くから!
ジョシュ:心配するな。ぼくはだいじょうぶだ。
チー:ほんとうに?いまどこにいるの?
ジョシュ:言えないんだ。でも、僕はお母さんを探しに行ってくる。本当のことがわかったんだ。スティーブ叔父さんはウソをついてた。お母さんはまだ生きてる。
チー:なんですって?いったいどういうこと?
ジョシュ:話せば長くなるから。でも、僕は無事だってことだけ伝えとこうと思って。これから、お母さんを探しに行ってくる。
チー:ジョシュ、あなたのことは大好きよ。でも、ヨーロッパ・ツアーはどうするの?いまさら中止にはできないのよ。もう契約も済んでるんだから。
ジョシュ:ほかのだれよりも、なによりも、お母さんのほうが大事なんだ。ツアーには間に合うように戻るって約束する。だから、お願いだよ、スティーブ叔父さんのことはなんとかしてくれる?
チー:あなたって、ありえないわ・・・。
ジョシュ:お願い。
チー:ちゃんと連絡入れるのよ、いい?スティーブ叔父さんはなんとかするから。
ジョシュ:ありがとう、チー。きみの僕への愛を感じるよ。
チー:叔父さんにしてみれば私は死んだも同然ね。
ジョシュ:じゃあ、またあとで、チー。
(スティーブが入ってくる)
チー:(装って)じゃあ、子どもの世話はお願いね。あなたに会えなくて寂しいわ~。私も愛してる♪
スティーブ:なんと、おまえの夫からの電話か?
チー:そうよ。それほど、私を愛してるの。
スティーブ:例の物議を呼んでる件について、なにか報告はあるか?
チー:あの件は落ち着いてるわ。もう心配しなくてだいじょうぶ。そうだわ、スティーブ、ちょっとリラックスしたらどう?ずっとストレスが多かったでしょ?あなたはゆっくりして、そのあいだにビリーと私でジョシュを探してくるわ。
スティーブ:そうだな。
チー:じゃ、行きましょ。
ビリー:よし行くか。

【公園】
ホリー:アーニャ、ありがとう。この埋め合わせはするから。ジョシュのこと、よろしくね。
アーニャ:なんでそんなにジョシュの面倒を見るの?つきあってるの?
ホリー:ううん、まだよ。でも、近いうちにそうなれるって気がするの。私、ジョシュのことがほんとうに好きで、お互いそういう気持ちだって感じてるの。 ジョシュ、もう私たち、行ったほうがいいわ。
ジョシュ:そうだね。きみのお母さんとはいつか話をつけるよ。
ホリー:ありがとう。じゃあ、明日ね。アーニャ、ジョシュをよろしくね。
アーニャ:わかった。ホリーのためなら。
ホリー:ありがとう。

【アーニャの近所】
アーニャ:いい? なにか必要なときは私に言って。私が用意するから。でも、私の家はぜんぜん広くなんかないし、あなたが慣れ親しんでるようなぜいたくなものはないからね。だから、無理なことは言わないでちょうだい。
ジョシュ:そうか、じゃあきみが、デートに本当は選ばれた人だったのか。きみがあの、おかしげなメッセージを書いた張本人か。「あんたが誰かも知らないし、どうだっていいわ~」ってヤツ。
アーニャ:そうよ!それがなにか?問題ある?
ジョシュ:違うんだ。じつは、そういうふうに普通の人たちのように扱われるのが嬉しいんだ。もちろん、音楽とかそういう活動を評価されるのは嬉しいよ。でも、スターとして扱われたくない。
アーニャ:なら、心配ご無用ね。うちではあなたを王様扱いなんかしないから。
ジョシュ:それはいいな。
アーニャ:待って、忘れないうちに言っとかないと。うちには、温かいシャワーも温かいお湯も出ないから、やかんで沸かしたお湯で満足しとくのよ。
(ジョシュ、道にとめてある自転車に飛び乗る)
アーニャ:ジョシュ、ジョシュ!降りて!降りてよ!
ジョシュ:ただちょっと乗ってみたかっただけだよ!
アーニャ:乗ってみたかった?どろぼうと間違えられたらどうするの?やめてよね。あなたのせいで、私が面倒なことに巻き込まれかねないわ!ここでは、あなたは顔を知られるわけにはいかないんだから、おとなしくしてて!もうこれ以上、私に面倒かけないで!
ジョシュ:そんなふうに思ってるの?面倒だって?
アーニャ:じゃあ、なんだと思うの?
ジョシュ:へ~え、お言葉ですが、じゃあなんで僕を手伝うことに同意したんだ?
アーニャ:面の皮が厚いヤツ!あんたのために同意したんじゃない、ホリーのためよ!私はあんたのことなんんかどうだっていいんだから、その態度を改めることね。どうしたら人に気づかれないか、ちょっとは考えたら?行くわよ!

【ホリーの家】
マルガレート:遊び人!それでもまだ家には帰ってこようという気はあるらしいわね!(ホリーを叩く)
ホリー:お母さん!ジョシュはただの友だちよ、お母さん!
 
 

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Nandito Ako (9) [Nandito Ako]

Nandito Ako エピソード9


【学校】
ホリー:私たち、ボディガードの目を盗んで抜け出して、ブラブラ歩きまわって、バルートを食べたの。アーニャ、屋台の食べ物の食べ方を教えてくれて、ありがとう!・・・アーニャ、聞いてるの??
アーニャ:ごめん。お金の工面を考えてたの。
ホリー:なにそれ?
アーニャ:信じてもらえないかもしれないけど、あなたのジョシュ・ブラッドリーのせいで私、仕事をクビになったの。
ホリー:はあ?どういうこと??
アーニャ:身を隠すために、私の着ぐるみを盗んだの。ファンに追いかけられてたのよ。それで、私は仕事を失って、借金が増えたってわけ。
ホリー:ねえアーニャ、ジョシュはそうしたくてしたんじゃないはずよ。
アーニャ:ジョシュ・ブラッドリーがどういうつもりだったかなんて、どうでもいい。着ぐるみを返してほしい。ジョシュは余計な問題を増やしただけだわ。私も、お母さんも、ふたりとも仕事がないの。家からの立ち退きも迫られてる。ホリー、どうしよう、私。

【ホテルの廊下】
(回想シーン)
ミレーヌ:あなたのお母さん、カーラを知ってる、まだ生きててあなたを探してる!お母さんはバタンガスにいるわ!私の住所がその写真に書いてあるから・・・
ホリー:もし、またお母さんと会えるならば、すべてを捨ててもいい?一緒にいるためなら、名声も、お金も、捨てられる?・・・
ジョシュ:うん、もしまた会えるならね・・・
ホリー:人生には一度しか訪れないチャンスがある。それを逃しちゃだめ・・・

ビリー:ジョシュ?だいじょうぶか?おまえ、どうしたんだ。
ジョシュ:おまえの助けが必要なんだ。
ビリー:なんだ?なにを悩んでる?
ジョシュ:僕、ここから抜け出さないと。
ビリー:え!?

【ボルタのヘアサロン】
ボルタ:ねえもう、なんでこんなときに仕事をクビになっちゃうわけ?
テレサ:クビになりたくてなったんじゃないわ。ねえ、私に仕事くれない?掃き掃除でもなんでもいいから。
ボルタ:無理よお。お客さんなんて来ないもの。
テレサ:どうすればいい?どこへ行けば仕事があるのかしら?

【ホテルの廊下】
ジョシュ:お願いだ。
ビリー:そうしたいのは確かなんだな?
ジョシュ:そうだ。ほかの何よりも。
ビリー:なら、行けよ!でも気をつけるんだぞ。なにか問題があれば、電話しろ。
ジョシュ:ありがとう!
ビリー:気をつけろよ!

【ホリーの家】
ホリー:アーニャ、なにか特にやりたい仕事ってある?ここにいくつか載ってるから、申し込んでみたら?
アーニャ:なんでもいいの。皿洗いでも構わない。とくに今は、お母さんを助けてあげられるならなんでもいい。どうやらお母さん、仕事には戻れないみたいだから。
ホリー:アーニャ、なにがあったの?どうしてあなたのお母さん、クビになったの?
アーニャ:それは・・・、お客さんと揉めごとを起こしたんだって。
ホリー:いきなりクビになる前に、まずは警告を受けるべきじゃないの?そうじゃないと不公平だわ。会社へ申し立てしてみたらどう?どこに勤めてるの?
アーニャ:クラブなの。うちのお母さんは、エンターテイナーなの。
ホリー:エンターテイナーって、どういう意味?
アーニャ:クラブの、ホステスよ。
マルガレート:誰がホステスですって?あなたが?

【ホテルのロビー】
スティーブ:ジョシュはどこだ?見つけないと!
パブリート:ダンナ、どこにもいませんダ。
スティーブ:なにがなんでも見つけろ!
チー:ビリー、あなたの友だちを見かけなかった?
ビリー:いや。でも、そのうち帰ってくるだろ。だから、落ち着こうぜ。
スティーブ:なにしてんだ、探せ!!
ビリー:(独りごと)ジョシュ、なんでこんなことすんだ?ちゃんとやりとげろよ、さもないと、やばいことになるぜ・・・。

【ホリーの家】
ホリー:お母さん、なに言ってるの?アーニャと私は、学校での演劇の話をしてたの。私たち、エンターテイナー、クラブのホステスの役をやるの。
マルガレート:あら、そうなの?ちょっといらっしゃい。あなたのお友だちが、まともな生活してるのかどうか、よく確認することね。この子みたいに、ホステスになんかになったら困るでしょ?
ホリー:お母さん、もうやめて。
マルガレート:あら?もうお帰り?
アーニャ:私、そんな侮辱をされるような悪いこと、なにもあなたに対してしてません。
マルガレート:まあ、ごめんなさい。傷ついたのかしら?(お金を出して) これ、とっときなさい。これのために私の娘に近づいたんでしょ?お金よね?
ホリー:お母さん!もうやめて・・。やりすぎだわ。
(アーニャ、去る)
ホリー:アーニャ、アーニャ!待って!
マルガレート:戻ってきなさい!
ホリー:お母さん!なんであんな態度とるの!?
マルガレート:そんな口きくんじゃないよ!あの友だちから悪い影響受けてるんじゃないの?あの不法占拠者に!
ホリー:お母さん、なんでこんなことするの?
マルガレート:なぜって、あなたが聞かないからよ!あんなたかりみたいな人たちと友だちになるのは、やめなさいって、何度言えばわかるの!友だちにふさわしくないわ!

【アーニャの家】
テレサ:私は、子どもたちのために強くあろうと思ってます。でも現実は、厳しい。もうあなたのもと以外に、頼れる場所はありません。私の子どもたち、とくにアーニャを、どうか見守ってください。アーニャのために望むことはただひとつ、学校を出て、よりよい生活を手に入れること。私が経験してきた辛さを、あの子には味あわせたくありません・・・。

【道】
(アーニャがタクシーにひかれそうになる)
タクシー運転手:おい、死にたいのか!俺を巻き添えにするな!
アーニャ:ごめんなさい。
タクシー運転手:これからはちゃんと前を向いて歩け!
アーニャ:ほんとうに、ごめんなさい。
ジョシュ:(タクシーから降りて)そんなに怒鳴らなくても。あの子、謝ってるじゃないか。もう、先に行こうよ。
アーニャ:あなた・・・、あなただわ!ジョシュ・ブラッドリー!私の着ぐるみを盗んだでしょう!?どこへやったの!?
ジョシュ:ああ、きみのこと覚えてる。ごめん、着ぐるみを盗むつもりなんてなかったんだ。ただ、ほかのみんなから逃げなくちゃならなくて。
アーニャ:あんたのせいで仕事をクビになって、弁償もしなくちゃならなくなったのよ!いまさら「ごめん」って言われたって、あの夜稼ぐはずだったお金は戻ってこない!
ジョシュ:ほんとうにごめん。できることなら払ってあげたいけど、でも都合をつけて次回にしてくれないか?いま、ほんとに急いでるんだ。
ホリー:アーニャ、アーニャ!ああ追いついてよかった~!・・・ジョシュ? ここでなにしてるの?
ジョシュ:ホリー、きみがいてくれてよかった!アメリカへ帰る前に、お母さんを見つけなくちゃならないんだ!頼れるひとは、きみしかいない。
 
 

【道】
ホリー:ねえジョシュ、私、よくわからないんだけど、お母さんは亡くなったって言ってなかった?
ジョシュ:スティーブ叔父さんがウソをついてたんだ。お母さんは死んだって、僕に信じ込ませてきた。でも、お母さんはまだ生きてるって言ってる人がいて、僕は、その人が本当のことを言ってると感じるんだ。ホリー、きみが必要なんだ。お母さんを見つけたいんだよ。
アーニャ:でも、なんでホリーに助けを求めるの?警察に連絡したらどう?または、あなたのマネージャーとか。その叔父さんとか。
ジョシュ:スティーブ叔父さんにそんなこと言えないよ。お母さんを見つけるのを妨害するためなら、なんだってするさ。それに、ほかの誰かに頼んだら、すぐ叔父さんの耳にも入って、それこそ二度とお母さんを見つけられなくなる。
ホリー:心配しないで、ジョシュ。私、手伝うわ。

【事務所】
スティーブ:おまえら、バカか!!
ボディガート:周辺も探しましたが、どこにもいませんでした。
スティーブ:この役立たずの間抜けどもめ!!世間にこのことが知れ渡るのを、ただじっと座って見てろっていうのか?!さっさと消えろ!甥っ子を連れてくるまで、俺の前に二度と顔を出すな!(チーが部屋を出ようとする) チー、どこへ行く気だ?
チー:あなたの頭を冷やすため、なにか飲み物をとってくる!そんなに怒鳴り散らしたって、なんの解決にもならないのよ!ちょっとは落ち着いたらどう?
スティーブ:バカいうな、ジョシュがどこかに行っちまったというのに、おとなしく座ってろって言うのか?
チー:ごらんなさいよ、みんな、ジョシュを見つけようと一生懸命なのよ。協力してくれてる人たちに、あんなふうに怒鳴ることないわ!
スティーブ:あいつらはそれで金をもらってる。それが仕事だ。俺のために働いてるんだ。
ビリー:叔父さん、ジョシュのことは俺、よくわかってる。もしあいつが、本当にどこかへ行っちまったのなら、それだけの理由があったんだよ。あいつは無責任なやつじゃない。必ず戻ってくるよ。

【道】
アーニャ:あの“混血”をほんとうに助けるつもりなの?
ホリー:アーニャ、そうよ。ジョシュと仲良くなれるチャンスだもの。この機会を無駄にしないわ。それに、お母さんにすごく会いたがってるのがわかるもの。
アーニャ:でも、もし面倒なことになったらどうする?
ホリー:だいじょうぶよ。これ、私のもうひとつの携帯、持ってて。いつでも電話して。
アーニャ:どうして?彼をどこに連れてくの?もしあなたのお母さんがジョシュを見たら、怒るわよ。
ホリー:どうだっていいわ!なんとかする。なにかあったら、あなたに電話するから、いい?
アーニャ:わかってるでしょ、あなたのことが心配なの。もしなにかあったら電話してよね。じゃあ、行かなくちゃ。
ホリー:待って、アーニャ。ここに住所が書いてあるから行くのよ。仕事があるはず。
アーニャ:ほんとに?どうもありがとう!すごく助かる!
ホリー:いいのよ。そのかわり、お願いがあるの。ジョシュが私といることを、誰にも知られたくない。だから、秘密にしてて。
アーニャ:でも、その人を助けようとして、面倒なことに巻き込まれたりしないって約束して。もし、ホリーになにか起きたらと思うと・・・。
ホリー:だいじょうぶ。

【事務所】
スティーブ:こんなバカげた話、もううんざりだ。重要なのは、このことを誰にも漏らすなってことだ。とくにマスコミにはな!さもないと、ヨーロッパ・ツアーを台無しにする恐れがある。
チー:あらまあ!あなたの甥っ子は失踪してしまったっていうのに、まだツアーのことなんて考えてるの?ジョシュのことは心配じゃないの?
スティーブ:おまえの意見など聞いていない。ただ自分の仕事をしろ。俺が言う通りにな。

【外】
ホリー:いつも顔を伏せて歩くのよ、そうすれば、誰にも気づかれない。
ジョシュ:きみとアーニゃは、いい友だちみたいだね。
ホリー:うん、アーニャは私の親友なの。姉妹みたいなものね。
ジョシュ:きみたちは、お互いにいい友達を持てて幸運だね。
ホリー:うん、すごく幸運だわ。さて、今日の予定は?
ジョシュ:ある女性が、この写真と、自分の住所をくれたんだ。お母さんを探すには、まずこの人の話を聞きにいかないと。連れてってくれる?
ホリー:この場所、知ってる。この近くよ。行こう!
ジョシュ:僕のためにこんなことしてくれて、ありがとう、ホリー。きみには大きな借りができたよ。このことはけっして忘れない。
ホリー:ジョシュ、あなたのためならなんだってする。あなたを喜ばせたいの。さあ、行こう!

【ホリーの家】
マルガレート:これがテレサ・ディオニシオよ。尾行して、どこに住んでるかを突き止めて。
男:テレサ・ディオニシオね。お安いご用だ。もしこの女を見つけたら、俺はどうすりゃいいんだ?
マルガレート:とりあえず見張ってちょうだい。どうするかは、あとで考えるわ。
男:わかった。

【ミレーヌの家】
ミレーヌ:来てくれて嬉しいわ、ジョシュ!あなた、すっかり大きくなったわねえ!最後に会ったときは、まだちっちゃかったのに。お母さんが今のあなたを見たら、喜ぶわよ~。まあ、私ったらしゃべりすぎね。今もタガログ語はわかるの?
ジョシュ:うん、わかるよ。
ミレーヌ:それはいいわね!あなたが小さいとき、よくタガログ語でお話ししたのよ。私たちみんな、あなたが英語で話すと鼻血を出してた。
ジョシュ:お母さんのことだけど、まだ生きてるってのは本当?
ミレーヌ:あなたとカーラが火事ではぐれてしまったとき、彼女は狂ったようにあなたを探したわ。やがて、あなたの叔父さんが、あなたをアメリカへ連れていったことを突き止めたの。
ジョシュ:お母さんはアメリカに行って、僕を探そうとした?
ミレーヌ:ジョシュ、お母さんはあなたを取り戻すために、あらゆる手を打ったわ。何度も何度も、アメリカ行きのビザの申請をしたけど、そのたびに大使館から却下された。アメリカへ連れてってくれるというアメリカ人と、恋人同士にもなったけど、結局うまく行かなかった。彼女があなたを思わない日は、1日だってなかった。だから、あなたを見たとき、お母さんは生きてるって伝えるチャンスを逃すわけにはいかない、って思ったの。
ジョシュ:お母さんのことを考えない日は1日だってなかった。お母さんに会いたくてたまらない。いま、どこに住んでるの?どこに行けばお母さんに会える?
ミレーヌ:最後に私たちが会ったとき、バタンガスに戻ってくるって言ってた。これが住所よ。
ジョシュ:ありがとう・・・。あなたには一生分の借りができた。
ミレーヌ:いいのよ。お母さんに無事会えるよう、祈ってるわ。

【公園のベンチ】
(アーニャ、時計を見つめながら火事を回想している)
アーニャ:あの男の子はどこにいるんだろう?名前すら聞けなかった。

【墓地】
チー:(カーラのお墓に向かって)あなたの息子をどうすればいいのか、私にはもう分からないわ。私はやるだけのことをやったのに、結局、あの子はどこかへ行ってしまった。どうか姿を現して、あの子と話してやって。

【道】
ホリー:どうしてそんなに悲しそうなの?お母さんが生きてるのがわかったんだから、喜べばいいのに。
ジョシュ:スティーブ叔父さんが嘘をついてたなんて、まだ信じられないんだ。お母さんが生きてるってこと知ってたくせに、僕をずっと惨めな気分にさせてきた。15年間ものあいだだ。
ホリー:あなたは15年間、ずっとひとりで生きてきた。でもこれからの残りの人生は、お母さんと一緒にいられる。だから、元気を出しなさいよ、ジョシュ!これまでの日々を取り戻すのよ。

【墓地】
パブリート:墓地の管理人と話しましたが、わしら以外には誰も来てねえつーことですだ。
チー:それはたしか?
ビリー:そ。ぜんぶ見てまわったけど、ジョシュがここにいる形跡はないね。
チー:なんてこと!ジョシュ、どこにいるの・・?(スティーブから電話) ほら、あなた出て。私はいないって言って。
パブリート:もし、電話をかわれって言われたらどうすんで?
チー:もう地獄に落ちたって言っといて!
ビリー:出ろよ。

【道】
ホリー:あなたは15年間、お母さんと一緒にいられなかったけど、でもこれからは、一緒に幸せになれるチャンスがある。私なんて・・・お母さんとずっと一緒だったけど、でも愛されていると感じたことがない。ともかく、私のことなんてどうでもいいわね。じゃあ、あなたのお母さんを探しに行こう。お母さんと一緒に幸せになれるチャンスをなくさないうちに。
ジョシュ:でも、どうやって?
ホリー:バタンガスに親戚がいるの。連れて行ってあげる。あっちに家があるから、お母さんを探すあいだそこに泊まりましょう。
ジョシュ:ほんとに?そんなことまでしてくれるの?
ホリー:もちろん。あなたのためなら、なんだってする。
ジョシュ:ほんとにありがとう!
 
 

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Nandito Ako (8) [Nandito Ako]

Nandito Ako エピソード8


【庭】
ホリー:ジョシュ、早く!見て!触ってもいいのよ!
(動く銅像に囲まれる)
ジョシュ:うわあ、おもしろい!
ホリー:なにか言おうとしてた?
ジョシュ:なんでもない。ただ、母のこと思い出してたんだ。よく遊園地に連れてってくれたから。あの銅像たちのこと、なんで知ってたの?
ホリー:友だちが手配してくれたの。
ジョシュ:そうなんだ。
ホリー:私のお父さんがここにいればな。きっと喜んだ。

【キッチン】
ボディーガード:どこへ行った?

【コンサート楽屋】
チー:とにかく時間をかせぐのよ!
スティーブ:ジョシュはどこだ!!
チー:まだレストランなの。
スティーブ:あのくだらないデートの相手とまだいるのか!
チー:(電話に出て)もしもし? なんですって!!なんでそんなことになったの!?
スティーブ:ジョシュからか?いまどこだ?
チー:あのお相手と、逃げたって。
スティーブ:なんだって・・・。

【公園のブランコ】
ホリー:こんなシーン、前に夢に見たわ。
ジョシュ:なに?
ホリー:なんでもない。ただのひとりごと。
ジョシュ:今夜はありがとう。おかげで、母との思い出を懐かしく思い出したよ。
ホリー:お礼を言うのは私のほう。いろんなことがわかってよかった。あなたは一緒にいて楽しいひとだわ。
ジョシュ:きみもだよ。きみと一緒で楽しかった。(携帯が鳴る)チーからだ。
ホリー:ガールフレンド?
ジョシュ:ううん、マネージャーだよ。
ホリー:出たら?
ジョシュ:もしもし、チー?心配ないよ、だいじょうぶだから。すぐにそっちへ行く。じゃあ。(ホリーへ)ごめん。
ホリー:いいの。

【公園内】
ジョシュ:僕のお母さんはフィリピン人だった。だからずっと、この国に来たかったんだ。
ホリー:ほんとうに?
ジョシュ:うん。
ホリー:だからタガログ語がわかるのね。
ジョシュ:うん。(ポケットから時計のバンドを取り出す)
ホリー:なにそれ?
ジョシュ:これは、お母さんが死ぬ前に最後にくれたプレゼントなんだ。時計だったんだけど。
ホリー:なんで壊れちゃったの?
ジョシュ:15年前に、僕は火事でお母さんを亡くした。そのときに、僕と同じくらいの年の女の子がいて、言ってみればその子の命を救ったような感じなんだ。でも、僕は滑ってバルコニーから落ちそうになって、お互い、絶対に手を離さないって言いあった。その子は、僕の時計がちぎれるまで、僕の手をつかんでた。結果的に、消防隊の人が来てふたりとも助けてもらったけど・・・。
ホリー:その子はいま、どうしてるの?
ジョシュ:まったくわからない。名前すら聞いてないんだ。これだけしか残ってない。いつか、その子にまた会って、僕の命を救ってくれてありがとう、って言いたいんだ。でも、ありえないよね。あの火事がなかったら、お母さんを亡くすこともなかった。
ホリー:ジョシュ、あなたの気持ちがわかる。私は、お母さんと一緒にいても、お母さんはいないようなものなの。
ジョシュ:だいじょうぶ?
ホリー:だいじょうぶよ。じゃあ、もしまたお母さんと会えるならば、すべてを捨ててもいい?一緒にいるためなら、名声も、お金も、捨てられる?
ジョシュ:うん。もし、また会えるなら。
ホリー:私も。絶対に愛を選ぶわ。私の乳母が言うんだけど、人生には一度しか訪れないチャンスがあるって。それを逃しちゃだめ。それに、悲しいときや困難なときは、あなたの音楽を聴くの。そうすると幸せな気分に戻れる。
ジョシュ:きみは、僕のこと知らなかったんじゃないのか?手紙に、僕が誰なのかすら知らない、って書いてただろ?
ホリー:ううん、私が言いたかったのは・・・、音楽を聴いて、ときどき一緒に歌うってことよ。
ジョシュ:きみも歌を歌うの?
ホリー:ううん。私が歌ったら、雨が降っちゃう。
ジョシュ:歌ってみてよ!きみが歌うのを聴いてみたい!
ホリー:いやよ!雨が降るもん!

【クラブ】
クラブのママ:テレサ、VIPルームであなたに会いたがってるひとがいるわよ。早く行って。
同僚:やったわねえ!あなた、まだモテモテじゃないの!
テレサ:私、そういう小仕掛けはいやなの。もうそういうの、こりごりよ。
クラブのママ:その客は、ただ話がしたいんですって。もしそれ以上を求められたら、交渉しなさい。私の取り分もわすれないでよ!
同僚:どうしたのよ?自分の支払いのことを心配しなさいよ。ほら、行って!
テレサ:しょうがないわ。

【公園】
ジョシュ:あれはなに?
ホリー:バルートよ。食べてみたことある?
(ジョシュ、首をふる)
ホリー:友だちが、バルートみたいな屋台の食べ物の食べ方を教えてくれたの。ふたつください。

【クラブのVIPルーム】
マルガレート:私から逃げられるとでも思ってるの?
テレサ:なにが望みなのよ!
マルガレート:復讐よ!
テレサ:10年もたつのに、まだ忘れられないの!?
マルガレート:忘れるですって!?あんたのせいで私の家族が崩壊したのよ!あんたのせいで夫は死んだ!
テレサ:あれは事故よ!
マルガレート:事故ですって!見なさい、あんたはまだここで働いて、金づるになる男をあさってるくせに!恥知らずな女!
テレサ:私のこと、知りもしないくせに。あんたに私を批判する権利なんかない!
マルガレート:私があんたのこと知らないって?ふん、あんたがこんなだから、あんたの娘もどうせ同じ穴のむじなに決まってる!
テレサ:あんたはみんなの悪口を言ってるがいいわ!でも私には母親業があるのよ!
マルガレート:恥知らず!!
同僚たち:テレサ、やめるのよ!
マルガレート:この女をクビにしなさい!さもなければ、この店を潰してやるから!
 
  

【レストランの玄関】
ジョシュ:今夜はありがとう。
ホリー:ううん、こちらこそ、ありがとう。
ジョシュ:これからも連絡を取り合おう。ところで、どこに住んでるの?
ホリー:マカティよ。でも週末はバタンガスにいるの。
ジョシュ:ぼくのコンサートに来る?
ホリー:もちろん!チケットを買ったわ。
ジョシュ:きみを選んでよかった。
ホリー:ジョシュ、聞いて。あなたに言わなくちゃならない重要なことがあるの。私は、このコンテストで選ばれた女の子じゃない。私は、エピファニア・ディオニシオじゃない。私はホリー・ポサダスっていうの。

【アーニャの家】
(アーニャ、火事の夢を見てうなされる)
アーニャ:またあの子の夢だ・・。

【レストランの玄関】
ホリー:エピファニア・・・、アーニャ・ディオニシオは私の友だちなの。アーニャは、仕事があったから来れなかった。それで、私がデートしたがってたの、アーニャは知ってたから、譲ってくれたの。
ジョシュ:構わないよ。きみのおかげで今夜は楽しめたっていう事実に、変わりはないからね。
ホリー:怒らないの?
ジョシュ:ううん。秘密のままにしておけたのに、きみは本当のことを話すことを選んだ。えらいよ。それに、今日のデートはほんとに楽しかったし。でも、なんで本当のことを話そうと思ったの?
ホリー:この夜を、罪悪感のない思い出にしたかったから、話すことにしたの。完璧な夜にしたかった。
ジョシュ:その通り、完璧な夜だったよ。

【コンサート会場の楽屋】
スティーブ:ジョシュ、俺に心臓麻痺でもおこさせるつもりか!?何度言えばわかるんだ!ボデイガードなしで外に出るんじゃない。この国では、おまえはよそ者なんだ。
ジョシュ:ぼくはこの国でよそ者なんかじゃない。さあ、コンサート開始だ!!

【ステージ】
ジョシュ:ふうっ!みんな、サイコー!!きょう、あるひとが、完璧であることについて話したんだ。真実の大切さをね。ぼくも、この夜を完璧なものにしたい。だから、ずっと隠してきた秘密を、きょうここで話そうと思う。僕の母は歌手で、小さい頃よくこの歌を歌ってくれた。みんなにとっては馴染みのある歌だと思う。フィリピン人である母をたたえるため、この歌を歌いたい。そして、きみたちのために!
スティーブ:なんでこの歌を歌わせるんだ!

-Nandito Ako- 
知りたいことがある
聞いてもいいかい?
僕がずっと、きみを愛し続けてるって、きみは知ってる?
僕はずっと待ってるんだ
でもきみは 他のひとを愛していて
僕に気づかない
それでもわかってほしい
僕の心はきみだけのもの
僕はここにいて きみを愛し続けてる
心は傷つきながらも
もしその人が きみの元を去ることがあるなら
心配しないで きみを愛するひとがいる
僕は ここにいるから

【アーニャの家】
アーニャ:お母さん、早かったね。
テレサ:なんでまだ起きてるの?
アーニャ:なんか目が覚めちゃって。お母さん、なにかあったの?
テレサ:お母さんは、困ったことになっちゃった。客の態度が悪かったから反撃したら、仕事をクビになっちゃった。もう、仕事はないんだ。さ、この話はもう終わりにしよ。
アーニャ:お母さん、もしかして神さまが、クラブで働くのをやめなさいって言ってるんじゃないかな。
テレサ:でも、私たちはどうなるの?あなたと弟の学校は?生活費は?

【ホリーの家】
ヤヤ:ゆっくりですよ・・。
マルガレート:これくらいだいじょうぶよ、ヤヤ。
ホリー:お母さんはだいじょうぶなの、ヤヤ?
マルガレート:あんた、どこ行ってたの?
ホリー:お母さん、もう飲まないで・・。
マルガレート:放して!きょう、私がなにをしてきたか知ってる?あんたの父親の愛人に会ってきたのよ。
ホリー:なんですって?お母さん、そんなことするなんて!
マルガレート:あの女が働いてるクラブを知ってるんだから。でも、あれだけじゃ気が済まない。家族を壊された私の痛みと同じ痛みを、あの女にまた味あわせてやる!倍にして返してやる!手を放して!この子の面倒をみなさい!

【会場の外】
ミレーヌ:ジョシュ!ジョシュ、私、あなたのお母さん、カーラを知ってる!カーラはまだ生きてて、あなたを探してるわ!
ジョシュ:えっ??

【会場の外】
ミレーヌ:私はミレーヌよ!あなたのお母さんの友だちなの!カーラ、これ、あなたのお母さんでしょ?!お母さんはまだ生きてるわ!
スティーブ:そのおかしな女をつまみ出せ!!ジョシュ、いいか、あんなたわごとに耳を貸すな。さあ、行こう。
ミレーヌ:ジョシュ、お母さんのことで話があるのよ!ジョシュ!お母さんはまだあなたを探してるのよ!

【ホリーの家】
ヤヤ:あなたのお母さまがまだあのことを根に持っているなんて、思ってもみませんでしたよ。お母さまはまだ、お怒りでいっぱいです。
ホリー:ヤヤ、もうずいぶん昔のことなのに。でも、お母さんはそれほどお父さんのこと、愛してたってことなのかな。だから今まで、お父さんのあやまちから立ち直れずにきたんだわ。それが、誰かを愛するってことなのかも。
ヤヤ:ホリー、もし、あなたにそんな日が来たら、時間をかけて育むのですよ。ひとを愛すると素敵な気分になれるけど、失ったときは辛いですから。そうだわ、ジョシュとのデートはいかがでした?

【アーニャの家】
家主:これだけ?足りないじゃない。全額払うって言ったでしょ?
アーニャ:近いうちに補てんすると約束しますから。
家主:約束の日までに払えないのなら、出て行ってちょうだい!
テレサ:なんとかしますから。必ず払います。
家主:そうしてくださいな!もし払えないようなら、荷造りを始めとくことね!!
テレサ:あの人、自分のこの家が大邸宅だと思ってるらしいわ!どこかに引っ越せたらいいけど・・。アーニャ、私ほんとに仕事を見つけないと。でもどうやって?
アーニャ:お母さん、心配しないで。私がなんとかする。

【ホテルのロビー】
ビリー:ジョシュ?おい、なにしてんだ?もう行くぞ。フライトに乗り遅れる。
ジョシュ:(写真をつなぎ合わせて) ビリー、見ろ。お母さんはまだ生きてるって言ったあの女性、ほんとのこと言ってたんだ。
 
 
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Nandito Ako (7) [Nandito Ako]

Nandito Ako エピソード7


【学校】
アーニャ:これが、デートに選ばれた証明となる確認書よ。
ホリー:アーニャが選ばれたんだから、アーニャが行かなくちゃ。仕事を見つけるのは手伝ってあげるから。
アーニャ:ホリー、私はほんとうに行く気ないの。それに、そもそもホリーがいたから、私も申し込んだんだから。友達は助けあうもんだって、ホリー言ってたでしょ?私を助けると思って引き受けてくれない?そしたら私も、もうデートのことを考えなくて済む。
ホリー:でもアーニャ、私、気になっちゃう。ウソつくのと同じだもん。
アーニャ:そうかもね。だって、私もそういうフリするから。でも、誰かの害になるわけじゃないし、誰も傷つかないし。それに、他人に譲れる当選権もあるでしょ?そういうふうに考えようよ。
(ホリー、確認書を開く)
アーニャ:ジョシュになにか悪いことしようとしてるわけじゃないでしょ?彼を誘拐するとか。
ホリー:なによそれ?アーニャ、マジかと思えば冗談言って~。
アーニャ:ただ、はっきりさせときたかっただけ。

【ボルタのヘアサロン】
ボルタ:ホリーにジョシュ・ブラッドリーとのデート権を譲っちゃったの??
アーニャ:そうよ。だってほんとに行きたくないんだもん。時間の無駄だわ。
ボルタ:ありえないわ!!ジョシュ・ブラッドリーとのデートを拒否するなんて!それならあたしに譲ってくれればよかったのに。ジョシュは私の希望の星なのに~。
(アーニャ、悲しそうな顔をする)
ボルタ:あら、まだ借金のこと考えてるの?バカねえ!
アーニャ:私、ほんとうに仕事が必要なの。一度でもいいから、まとまったお金稼がないと。そしたら1か月分の家賃が払えて、ホリーにも借金を返せる。
ボルタ:ちょっと待つのよ、いい?(お金を取り出し) バングス、これ・・。あなたの問題を解決する手助けをしてあげる。ほんのちょっとだけど、どうか受け取って。
アーニャ:そんな、いいのよ。私ならだいじょうぶだから。
ボルタ:あたしのゴッド・チャイルド(キリストの洗礼の名づけ子)・・・。あたしはあなたのオカマのゴッド・マザー(名づけ親)でしょう?これはあたしの男たちのためのお金だけど、でもあなたにあげるわ。
アーニャ:ありがとう。

【ホリーの部屋】
ヤヤ:ホリー、身支度されて、おでかけですか?
ホリー:ヤヤ、私、ジョシュ・ブラッドリーとデートするの。
ヤヤ:まあホリー、ほんとうに?
ホリー:ほんとうよ。友達のアーニャがチケットをゲットしたんだけど、でも代わりに私に行ってって頼まれたの。
ヤヤ:待ってくださいよ、このこと、お母さまはご存じなの?
ホリー:ヤヤ、お母さんが行かせてくれるわけないの、知ってるでしょ。
ヤヤ:でも、もっとひどく怒られますよ。
ホリー:そんなことないわよ、もしヤヤが内緒にしてくれたらね。
ヤヤ:私まで同罪になさるつもりなの?
ホリー:ヤヤ、お願い~。
ヤヤ:わかりました。でも早く帰ってくるんですよ。
ホリー:約束する。
ヤヤ:ああもう、あなたに頼まれたら断れないわ。
ホリー:ありがとう、ヤヤ~。ジョシュ・ブラッドリーに会えるなんて、まだ信じられない!
マルガレート:(部屋に入ってきて)ジョシュ?ジョシュってどなた?どこに出かけるの?
ヤヤ:ホリーは学校で演劇をするんですって。ジョシュは相手役の名前です。
マルガレート:いったいなんなの、ホリー?学校からあなたの問題で電話が来たと思ったら、今度はそんなくだらないこと?まったく!大人になりなさい!
ホリー:お母さん、ごめんなさい。
マルガレート:あなたの言うごめんなさいなんて、どうでもいい。真剣に勉強して、お姉さんのオードリーみたいになりなさい!
メイド:奥さま、失礼します。ご友人さまからお電話がかかっております。とても大切なことだそうです。
(マルガレート、去る)
ホリー:お母さんは正しいわ。私、行かないほうがいいかも。お姉さんのオードリーだったらこんなことしない。お母さんを喜ばせるために、私、もっと別のいいことをするべきだわ。
ヤヤ:いいえ、あなたは行って、楽しんでくるべきですよ。
ホリー:でも、ヤヤ・・。
ヤヤ:お母さまは私がなんとかします。
ホリー:でも、もしクビになったら。
ヤヤ:私のことはいいんです。なんとかなりますよ。大切なのは、ホリーが楽しむこと。たった一度の人生、このチャンスを逃したらだめですよ。
ホリー:ヤヤ、ありがとう。

【アーニャの家】
(テレサ、指輪を見つめる。アーニャが帰宅)
テレサ:あら、帰ってきたの?!歌手とデートに行ったんだと思ってた。
アーニャ:ううん。ホリーに譲ったの。時間とお金の無駄だもの。
テレサ:その通り!あの歌手に好かれるだなんて期待したってダメ。貧乏から救いだしてくれる白馬の王子さまなんて、いないんだから。覚えておくのよ。自分の人生がどうなるかは、自分だけが頼りなんだよ。
マンド:よお、バングス!探してたんだぞ。あ、お母さん、こんばんは~。
テレサ:お母さん?私は、白馬の王子さまなんていないっていつも言ってるけど、だからって将来の義理の息子がこんな顔だなんて、夢にも思ったことないよ!
マンド:お母さん、ってのは冗談だよ。
アーニャ:マンド、なんの用なの?
マンド:俺のいとこの都合が悪くなってな、代わりの人を探してるんだ。マスコット役だ。こんなに稼げる仕事だなんて知らなかったんだけど、ひと晩3000ペソだってさ!それでおまえを思い出したんだ。おまえ、仕事が必要だっただろ?だから来たんだ。
アーニャ:でも、なんであんたがやらないの?
マンド:俺は、ほかに用事があるからできないんだ。おまえ、できるか?今夜、パサイのホテルでだってさ。
アーニャ:もちろんよ!
テレサ:ちょっと、ちょっと!違法とかなんじゃないの?
マンド:おいおい、テレサさんよ、この俺が、俺の最愛の将来の妻を、危険な目にあわせるわけがないだろ?
テレサ:うわっもうやめてよ!そんなこと言って恥ずかしいと思わないの?
アーニャ:もう、あんたは仕事だけ紹介してくれればいいのよお。

【ホテルの廊下】
パブリート:ダンナ、悲しそうな顔すねエ。デートが楽しみじゃないんで?
ジョシュ:デートなんかじゃないよ、パブリート。これも仕事のうちだ。
パブリート:んでも、デートはデートっすヨ。なにが起こるか、わかりませんですヨ?運命の恋人に出会うかもしれないじゃないっすか。フィリピン人は愛情深いっすからねエ。
ジョシュ:そんなこと、考えたことないよ。
パブリート:んでも、ガールフレンドなんかは?ほら、オナゴですだ。
ジョシュ:デートは何回かしたことあるよ。2人の女の子とつきあったことある。でも、ただの子供っぽいつきあいだよ。
パブリート:っつーことは、ダンナは、恋愛をしたことないんで?
ジョシュ:そういうのは、ないね。
パブリート:なんと・・・・・・。
ジョシュ:恋は魔法のようなものだって、お母さんがよく言ってた。でも、ぼくにはピンとこないね。
パブリート:それはっすねえ、こんな感じだス。恋をすると、まるで、お腹に羽が詰まったみたいになるんス。くすぐったいんスよ。ほら、コチョコチョって。それから、世界がバラ色に変わるんス。小鳥がピーピー飛びまわって。んで、いっちばん重要なことは、恋に落ちるとその瞬間、ベルが鳴るのがほんとうに聞こえるんすヨ。ベルの音が、恋に落ちた合図なんッすヨ、ダンナ。

【レストラン】
ウエイター:失礼ですが、エピファニア・ディオニシオさんですか?
ホリー:そうです。
ウエイター:身分証明書を拝見できますか?
(ホリー、身分証明書を見せる)
ウエイター:結構です。では中へどうぞ。ジョシュさんもこれからいらっしゃいます。

【イベント・ルーム】
雇い主:あなたが代わりのひと?
アーニャ:そうです。
雇い主:マスコットになった経験はある?
アーニャ:いいえ、初めてです。でも私、子どもは好きですし、やれると思います。
雇い主:もうしかたないわ。イベントは20分後に開始よ。司会者があなたを呼んだら、あのドアのとこに行ってね。
アーニャ:わかりました。
雇い主:じゃあ、着ぐるみを着て。
アーニャ:はい。ありがとうございます。

【トイレ】
アーニャ:(着ぐるみを見て)これ着たら1時間は脱げないわね。今のうち、トイレに行っとこ。

【ホテルの廊下】
チー:まず、デートの当選者とレストランで会って、ディナーを一緒に食べる。そして8時になったら、コンベンション・センターへ向かってね。あなたが到着した30分後にコンサート開始よ。
ジョシュ:わかったよ、チー。手順はわかってる。
チー:デートのお相手に優しくしてあげるのよ。フィリピンの女の子は結構おしとやかなんだから。
ジョシュ:はいはい、わかってます。
チー:じゃあ、がんばってね。
(ファンが押し寄せる)

【トイレ】
(トイレへ逃げ込むジョシュ。アーニャの着ぐるみを持ち去る。アーニャがトイレの個室から出てくる)
アーニャ:着ぐるみがない!

【ホテルの廊下】
(着ぐるみを着たジョシュを追いかけるアーニャ)
アーニャ:ちょっと!それ返して!どろぼう!返せ!!
 
 

【駐車場】
アーニャ:ちょっと!待ちなさい!着ぐるみを返して!!私、それがないと困るのよ!!
(ジョシュ転んで頭がとれる。アーニャと見つめあう)

【レストランのトイレ】
ホリー:(鏡の自分に向かって) だいじょうぶ、あなたならできるわ。頭がおかしいことなんて、ない。あなたならできる。ジョシュに気に入ってもらえるわ。

【駐車場】
アーニャ:あなたは・・!?
(ファンが追いかけてくる)
ジョシュ:ごめん!借りてくよ!
チー:(車のドアを開けながら)ジョシュ、早く乗って!
(ジョシュ、車に飛び乗って走り去る)

【レストランのトイレ】
ホリー:(鏡に向かって)「こんにちは、ジョシュ。わたしはアーニャです。」「ずっと、あなたとお会いしたかったんです。こうなるのを長いあいだ、夢見てました・・。」「こんにちは、ジョシュ。わたしはホリーです。」 あ、違う違う。「信じられない、ジョシュウ、あなたってなんてハンサムなのお。」 だめだめ。「愛してます[ハート]」 あ~ん、どうしよ~。もうジョシュ来てるかも。だいじょうぶよ、やれる。

【車の中】
チー:その着ぐるみ、どうしたのよ!?
ジョシュ:ちょっと複雑な事情が・・・。ともかく、あそこへ戻らなくちゃ。
チー:無理よ!デートのお相手が待ってるんだから。あなたをレストランでおろして、私はこのまま会場へ行くわ。まったく!ヘアを直しなさい!
(着ぐるみを脱ごうとする)
チー:早く脱ぎなさいよ!
ジョシュ:腰にひっかかってるんだ!

【レストラン】
ホリー:すみません、ジョシュ・ブラッドリーはほんとに来るのかしら?
ウエイター:はい、いらっしゃいます。お待たせしていて申し訳ありません。滞在しているホテルでちょっとゴタゴタがあって、遅れているそうです。
ホリー:わかったわ、ありがとう。

【イベント・ルーム】
雇い主:あんな大きな着ぐるみなのに、無くしたですって?
アーニャ:アメリカ人のひとが持ってっちゃったんです。ジョシュ・ブラッドリーです。
雇い主:そんなこと言って、ごまかす気なの?
アーニャ:いいえ・・・あの人がどうして着ぐるみを持っていっちゃったのか、わからないんです。つかまえようとしたんですけど、車が来て・・・。
雇い主:誰が持ってったのかなんてどうでもいいわ。早くここに持ってきなさい。お客さんたちが待ってるでしょ!?
アーニャ:彼がどこにいるのか、わからないんです。
雇い主:わからないですって?あの着ぐるみを無くすなんて、なんてバカな子なの。あれ、高かったのよ!
アーニャ:ごめんなさい。ほんとうにごめんなさい。
雇い主:ごめんじゃ済まないわ!もし今日のお客さんが料金を払わなかったら、あなたに払ってもらうわよ!それに警察を呼んで、刑務所に入れてやるから!

【レストラン】
ジョシュ:きみがエピファニアだね?はじめまして。遅れてごめん。この埋め合わせはするよ。
(ベルの音)
(パブリートの声:恋に落ちると、ベルの音が鳴るんッス。それが恋に落ちた合図ッスよ!!)
ホリー:どうかしたの?
ジョシュ:ううん、なんでもない、ごめん。さあ、席について。

【アーニャの近所】
マンド:アーニャ!
アーニャ:あ、マンド・・。
マンド:どうした、悲しそうな顔して。仕事してきたんだろ、いい稼ぎになったろ?なんでそんな顔してんだ?
アーニャ:さんざんな目にあったのよ。解雇されて、一銭も稼げなかった。着ぐるみがなくなって、借金だけが残った。
マンド:え?なんで?
アーニャ:盗まれたの。
マンド:信じられねえ・・・。マスコットの着ぐるみまで盗まれちまったのかよ。まて、盗んだやつはどいつなんだ?顔は見たのか?

【レストラン】
ジョシュ:遅れてごめん。いろいろあって・・・。着ぐるみを盗んでまで、ここに来たんだ。そうだ、きみの手紙はすごく面白かったよ。こんなデート、どうでもいいって書いてたよね。
ホリー:ほんと?そうだっけ・・・?
ジョシュ:うん、きみ、そう書いてたよ。覚えてないの?
(ホリー、アーニャのセリフを思い出している「なんで私が選ばれたのか、わかんない。メッセージ適当に書いたのに。」)
ホリー:そうそう、そんなこと書いたっけ。あなたには興味ないの。その通りよ。
ジョシュ:それに、僕のこと知らないって。
ホリー:(独り言)アーニャ、いったいなに書いたのよ~。
ジョシュ:なにか言った?
ホリー:いいえ。もし、私の手紙で気分を害したのなら、ごめんなさい。
ジョシュ:ううん、そんなことない。じつを言うと、それできみを選んだんだ。すごく興味をひかれたから。ところで、フィリピンの言葉でしゃべってもいいんだよ。
ホリー:タガログ語がわかるの?
ジョシュ:うん。
ホリー:じゃあ、しゃべれる?
ジョシュ:ちょっとならね。
ホリー:すごいわ!
ジョシュ:ありがとう。

【アーニャの家】
ボルタ:なんでそんな顔してるの?
アラジン:お姉ちゃんは着ぐるみをなくして、弁償しなくちゃならないんだ。
アーニャ:なくしてなんかいないわ!ジョシュ・ブラッドリーが盗んだのよ!
ボルタ:ちょちょちょ、ちょっとお~、聞きまちがいかしら?スーパースターのジョシュ・ブラッドリーが、着ぐるみを盗んだですって??
(アーニャ、うなずく)
ボルタ:いったいあなた、どんなドラッグやったの?気は確か?
アーニャ:ゴッド・マザー、本当なの。
ボルタ:ありえない!ジョシュ・ブラッドリーでしょ?あの有名な歌手の!
アーニャ:そうよ、そのひとよ。
ボルタ:ウソ・・・、ウソでしょ~!!いったいど~いうこと??
アーニャ:ファンに追いかけられて、私がいたトイレに駆け込んできたの。それで、私の着ぐるみをとって、それを着てファンから逃げたのよ。わかった?
ボルタ:いやああああ~~~!ウソよ、ウソでしょ~~!!それがどういうことだか、わかる?
アーニャ:なによ?ジョシュ・ブラッドリーはどろぼう、ってこと?
ボルタ:バカねえ。あんたたちふたりは出会う運命ってことよ!同志なのよ!いやーん。
アーニャ:ゴッド・マザー、どんなドラッグやってるの?気は確か?
ボルタ:よおくお聞き、あなた。わからないの?ジョシュに会うチャンスを、あなたはひとに譲ったのよね、そうでしょ?なのに、運命がまたふたりを引き合わせたのよ。まるで映画みたいに!信じらんない!すごいわ!もうこれは、ふたりは出会う運命だとしかありえないわ!
アーニャ:もし、あなたの言うように、運命の出会いが本当にあるとしたら、その相手はジョシュ・ブラッドリーじゃない。あの火事で私を救ってくれた、あの男の子とまた会えなくちゃ。あの子が私の同志じゃなくちゃ。あんな、盗癖のある男じゃなくて。

【レストラン】
ジョシュ:きみのお母さんは元気なの?
ホリー:お母さん?元気よ。
ジョシュ:僕くは、シングルマザーの女性をすごく尊敬してるんだ。ぼくの母もシングルマザーだったから。お母さんはなにをしているの?
ホリー:会社員よ。
ジョシュ:僕の母は、歌手だったんだ。
ホリー:”だった”?
ジョシュ:そう。僕が小さいときに、死んだんだ。
ホリー:まあ、それはお気の毒に・・。
ジョシュ:いいんだよ。
ホリー:もしお母さんが生きてたなら、あなたのこと、誇りに思ってるはずよ。
ジョシュ:うん。母が、歌うことを教えてくれたんだ。じつを言うと、母はいろんなことを教えてくれた。ハロハロの食べ方もね。デザートに頼もうか?
ホリー:いいわね!私もハロハロは大好き。
ジョシュ:ウエイターさん!デザートにハロハロをお願いできますか?
ウエイター:かしこまりました。
ジョシュ:ありがとう。

【アーニャの家】
(アーニャ、クロゼットから時計を取り出して見つめる。火事の回想シーン)
アーニャ:あの人はいま、どこに・・・。

【レストラン】
ホリー:ほら、世界的に有名な歌手にしては、あなたってごく普通の男性のように見えるわ。
ジョシュ:ぼくは普通の男だよ。ただ、普通じゃない仕事を持ってるだけ。誤解しないでほしいんだけど、ぼくは歌うのが大好きで、音楽はぼくの情熱だ。でも、ときどき昔の生活が恋しくなる。子どもの頃、母とぼくは毎日、海岸を散歩した。砂浜を走りまわったり、砂で遊んだりした。でも今のぼくは、ぜんぜん違う。なにをするにも、誰かが写真を撮ってまわる。それがいやだと言ってるんじゃない、それも仕事だってわかってる。でも、普通の生活が懐かしいんだ。もう、休暇らしい休暇を最後にとったのはいつかさえも、思い出せない。
ホリー:どんなことをしたいの?
ジョシュ:海岸を歩いたり、スキューバ・ダイビングもいいな・・・。でもぼくは、泳ぎさえうまくない。泳ぎの訓練よりもまず、ボーカル・コーチの訓練が優先したから。ときどき、1日でいいから透明人間になれたら、って空想するよ。
ホリー:待って、いい考えがあるわ。
ジョシュ:なに?
ホリー:いい場所があるの、あなたも気に入るはず。行きましょ!
ジョシュ:だめだよ、ボディーガードが許さない。
ホリー:私にまかせて。(ウエイターに)すみません!
ウエイター:いかがいたしました?
ホリー:ブラッドリーさんが、料理長に直接、素晴らしい料理のお礼を言いたいんですって。お会いできる?
ウエイター:もちろんです、いま参らせます。
ホリー:いいえ、私たちがキッチンへ行くわ。メイン・コースがどう料理されたのかも、見てみたいの。
ジョシュ:そうだね、料理長には会えますか?
ウエイター:かしこまりました。ではこちらへ。

【キッチン】
ホリー:あなたが料理長さんですか?すごくおいしい料理をありがとう!ところで出口はあちら?
料理長:あちらです。
(ホリーとジョシュ、出口へ向かう)
 
 
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Nandito Ako (6) [Nandito Ako]

Nandito Ako エピソード6


【ホリーの家】(回想シーン)
マルガレート:あなた、どこ行ってたの?朝に帰ってくるなんて、いったいなにしてたの?
ジェイム:取引先と飲みに行ってたんだ。
マルガレート:なにこれ?口紅じゃない?
ジェイム:今はやめてくれよ。
マルガレート:今はやめろですって?じゃあ、いつになったら愛人のことを話すつもり?
ジェイム:なに言ってる?
マルガレート:あなたが浮気してることくらい、知ってるのよ。恥知らず!
ジェイム:なんだって!
マルガレート:あなたの娘の母親になるため、私はすべてを犠牲にしたのに!こんな仕打ち、あんまりだわ!!
ジェイム:やめろ!
マルガレート:恥知らず!ウソはやめて!!

【病院】(回想シーン)
(テレサがジェイムにすがって泣いている)
マルガレート:あなた誰?
テレサ:あなたに連絡した者です。ごめんなさい、ジェイムは亡くなりました。
マルガレート:あんたが夫と一緒にいた女ね!あんたが私の夫を殺したんだ!この愛人め!!

【ホリーの家】
マルガレート:あれ以来会ってなかったけど、きのう偶然見たの。まだ生きてた。
マルガレートの友人:どうするつもり?まさか、何年もたった今ごろになって、復讐するつもりじゃないでしょうね?
マルガレート:できるならものなら、してやるわ。私が味わったのと同じ痛みを、あの女に味あわせてやる。

【お店】
ホリー:(店員に)はい、お金。(CDを受け取る)
ホリー:もうすぐ売り切れるとこだった。手に入ってよかったわ。ジョシュってほんとすてきなの。保証する。彼こそ私の王子さまで、もう私にはほんとに彼しかいないの~。だから、このプロモ絶対にとれなくちゃ、ありえない~。
アーニャ:(クーポンを拾って)ホリー、落としたよ。
ホリー:どこにあったの?
アーニャ:そこに落ちてたの。
ホリー:じゃ、もらっちゃいなさいよ。なにか書いて出したら?
アーニャ:え?でも私、ジョシュ・ブラッドリーなんて興味ないもん。
ホリー:なんでもいいのよ、ジョシュに言いたいことを書けば。いいこと書くのよ。私は、すっごく素敵なことを書くわ、そしたらジョシュが読んで、選んでくれるはず。

【スタジオ】
チー:ジョシュ!いまレーベルが連絡してきて、Nandito Akoの許諾が取れたって。ライブで歌えるわよ。
ジョシュ:よかった!ありがとう、チー。
チー:いいのよ。歌ってみたら?
(ジョシュ”Nandito Ako”を弾きながら歌う)
スティーブ:ちょっと失礼するが、それは、タガログ語の歌では?
ジョシュ:そうだけど?今夜のコンサートでやるんだ。
スティーブ:えーと、いったい誰が許可したんだ?
チー:レーベルに確認して、許可はもらってるわ。
スティーブ:いや、だめだ。だめだめ。曲目からはずすぞ。
ジョシュ:いいや、叔父さん。ぼくは歌うよ。お母さんへ捧げるんだ。
スティーブ:母親のこととなると、父親と同じように強情だな、おまえは。弟は、あの女への愛のために破滅した。おまえも同じように、あの女への愛のために破滅する気か。おまえは今夜、この歌を歌っちゃいけない。

【夜道】
アーニャ:あれで夕ご飯にしよう。ホリー、これ食べてみて。何ごとも経験よ、おいしいんだから。
ホリー:なんなの?
アーニャ:なにが。
ホリー:わたしのこと見て、笑ったでしょ。
アーニャ:ううん、ただ以前は、あなたはえり好みするタイプだと思ってたから、仲良くなんてできないと思った。でも、違った。
ホリー:アーニャ、あなたは親切にしてくれたもの。それに、私は親切にしてくれるひとに対しては、親切なのよ。これ、おいしい。

【アーニャの家】
テレサ:おかえり!遅かったね。
アーニャ:うん、ホリーに誘われたから、出かけてきたの。
テレサ:ホリーって、このあいだ来た子?あの子とお友だちになったの?
アーニャ:うん、お母さん。親切にしてくれるし、それに一緒にいて息があうの。でも・・・。
アラジン:でも、なに?
アーニャ:いつまで仲良くできるか、わかんない。
テレサ:どうして?
アーニャ:あの子のうち、すごいお金持ちなの。それにひきかえ、うちは・・・。
テレサ:あの子が金持ちで、うちが貧乏なら、なんだっていうの?
アラジン:そうだよ、お姉ちゃん。
テレサ:うちは貧乏だけど、でも悪い人間じゃないんだ。ホリーと仲良すればいいのよ!ほらなんなの?食べなさい!

【ホリーの家】
友人:なにか悪いことでもあったって顔してるわね。またホリーのこと?
マルガレート:きまってるわよ、あの子しかいないわ。あの子、私の家に不法居住者を連れてきたのよ。それで、お友だちだなんて言うんだから。
友人:まあまあ、マルガレート。友達くらい自由に選ばせてやったら?
マルガレート:ふん、あの子のバカな真似や気狂い沙汰を許したりなんかするもんですか。
友人:そんな言い方しなくても。ホリーはそれでもあなたの娘でしょ?
マルガレート:そう、娘よ。でもあの子を養子にしたのは、ジェイムの望みだったから。
友人:それでも、あの子は法的にはあなたの娘で、旦那さんはあの子を本当の娘のように愛したのよ。
マルガレート:そうよ、ジェイムはあの子を愛した。自分の本当の娘であるオードリーを忘れるほどにね。私は、夫の幸せのためならと受け入れたわ。なのに結局、夫は私を捨てて、あの安っぽい女を選んだ。
友人:いつになったらあなた、その怒りから自分を解放するの?もう10年以上もたつのよ。あなたの心は、まだ憎しみでいっぱいだわ。
マルガレート:ジェイムが私にしたこと、忘れやしない。ホリーを見るたび、ジェイムに傷つけられた痛みを思い出すの。

【学校】
ホリー:アーニャ、きのうの夜の私のお母さんのこと、ごめんね。
アーニャ:いいの。少なくとも、あなたは私に対してあういう態度はとらないってわかってるから。
ホリー:お母さんのことがよくわからない。お父さんが死んでから、いつも怒ってばかりいるの。じつは、どんどんひどくなってる。
アーニャ:誰か大切なひとを失うと、そうなっちゃうのよ。辛いものなのよ。
ホリー:でもあなたのお母さんは?アーニャだってお父さんを亡くしたんでしょ?
(アーニャ、うなずく)
ホリー:私のお母さんはほんとうにへんなのよ。アーニャ、私たちの両親はそんなふうにぜんぜん違うけど、それでも私たち、友達でいられるよね?
アーニャ:うん。
ホリーの友人:あらまあ?いったいどういうこと、ホリー?お母さんにはたかれて、友達を選ぶ目まで狂っちゃった?
ホリー:その通りよ!私はお母さんにはたかれた。でも、あなたたちはどこにいたの?気にもしなかったくせに。
ホリーの友人:それで、その負け犬の側についたってわけ?
アーニャ:ちょっと、だれが負け犬だっていうの?おとなしくしてればいい気になって。受けてたつわよ。
ホリー:そうよ、やめたほうがいいわよ。
ホリーの友人:んまあ!なんて怖いのかしら。あんたたち2人で組んで、私たちをやっつけられるとでも思ってるの?
アーニャ:ふん、もしあんたが鼻の整形をしてなくて、あんたが英語の落第生じゃなかったら、私も尻込みするとこね。あんたたち、自分のことをさも偉大かのように言うけど、くだらない人たちだわ。行こう、ホリー。
ホリー:それに、あなたたちにはひとに言えない秘密があるのよね。気を付けてね。

【学校の外】
アーニャ:あいつらの顔、おかしかった!
ホリー:ほんと!アーニャ、かばってくれてありがとう。
アーニャ:こちらこそ、ありがとう。私の味方をしてくれた。
ホリー:もちろんよ。なにがあっても私たちの友情を失わないでね。私、よくわかったの。もし友達になるなら、ただ私を利用しようとする人じゃなくて、本当の友達が欲しい。アーニャ、あなたが本当の友達だってわかるの。
アーニャ:ありがとう、ホリー。行こう!

【スタジオ】
チー:ジョシュ、最後のふたりまで絞り込んだわよ。私の選択はこれ。なにか意見あるなら聞かせて。読んであげようか?
(ジョシュ、無言)
チー:「目が覚めてあなたを思い、眠りについてあなたを思いこがれる。あなたの音楽は悲しみを遠ざけ、あなたを思う心が私を幸せにする。私はこの銀河一番のあなたのファンです。ホリー・ポサダス」 どう?
ジョシュ:どうでもいいよ。きみが好きなのを選べば?
ビリー:俺、選んでいい?これ、おもしろいんだ。ほら、ジョシュ、これおもしろいぜ。
チー:ああ、これね。おもしろいって言うか、普通じゃないわよね。「私は、あなたのことを知らない。あなたがどんな人なのかも、どうでもいい。私のお父さんは死んで、お母さんは私と弟を学校に通わせようと必死に働いてる。もっと大切なこと、考えなくちゃならないことを私は抱えている。だから、こんなことに興味ない。」この子、こんなデートには興味ないんだって。じゃあ、なんで申し込んだのかしら。
ビリー:変だよな。
チー:変よ。もう、こっちのにしましょうか。
ジョシュ:なんて名前?
チー:ホリー・ポサダス。
ジョシュ:もうひとつは?
チー:興味ないほう?
ジョシュ:そう。
チー/ビリー:エピファニア・ディオニシオ。
チー:誰を選ぶ?

 

【ホリーの部屋】
司会者:ジョシュ・ブラッドリーとのディナーを勝ち取った幸運な女性は・・・。
ホリー:どうか私でありますように・・・。ジョシュ、お願い私を選んで・・・。神さまお願い・・・。
司会者:エピファニア・ディオニシオさんです!おめでとうございます!
ホリー:アーニャ?アーニャが選ばれたの?

【アーニャの近所】
近所のひと:よかったわね!バングス、あなたほんとツイてるわ!
アーニャ:ええ、まあ・・。なんだかわかんないけど・・。
ボルタ:きゃあ~~~!あなたスゴイわあ!みんなをよくやぶったわネエ。
アーニャ:いったいなんなの?近所のみんなが、おめでとうって言うの。
ボルタ:あなた、選ばれたのよ!
アーニャ:なにに?
アラジン:デートだよ!
アーニャ:はあ?
ボルタ:あなた、知らないの?国際的人気歌手、ジョシュ・ブラッドリーとのデートの相手に選ばれたのよ。テレビで観たんだから。それでこれが送られてきたのよお。んもお~、おめでとう!
アーニャ:それで家賃が払えるっての?意味ないわ。
ボルタ:あなたって、えり好みするのねえ。ほらあ、白馬の王子さま、ジョシュ・ブラッドリーなのに、あなたったら。そうだ、あなたをう~んとかわいくしてあげる。行きましょ。なにが欲しい?すてきなヘア・スタイル?携帯?なんでも言って!
アーニャ:仕事が欲しいわ。それが、いま私に必要なもの。

【ホリーの部屋】
ヤヤ:なに考え込んでるの?悩みごとですか?
ホリー:ううん。ただ、落ち込んでるだけ。ジョシュとのデートに選ばれなかったから。ずっと夢見てたのに、負けちゃった。ジョシュと会って、たとえ少しのあいだでもお話したかった・・・。素敵な音楽で私に感動を与えてくれたお礼を言いたかった。
ヤヤ:そんなに落ち込まないでくださいな。ジョシュのコンサートに行くんでしょう?そうしたら、ジョシュに会えるじゃないの。
ホリー:私はだいじょうぶ、ヤヤ。私の友達、アーニャが選ばれたの。アーニャがかわりに私の夢を実現してくれるわ。

【ホテル】
チー:ジョシュ、デートにはなにを着てくの?
ジョシュ:なに?
チー:デートにはなにを着るのよ?
ジョシュ:ああ、いいよ、それで。ところで、今夜の段取りは?
チー:そうね、まずレストランに行って、そこでデートのお相手とディナーを食べるの。それがだいたい1時間くらい。そのあと、コンサート会場へ直行して、それからインタビュー。そんなとこね。
ジョシュ:わかった。それで、滞在を伸ばすことはできる?
チー:もうずいぶん長くここにいるでしょ。いったいまだなにがしたいの?
ジョシュ:もうちょっと長くいたいんだよ。
チー:悪いわね、ジョシュ。無理なのよ。あなただってわかってるでしょ。スティーブ叔父さんが許さないのよ。
ジョシュ:僕はずっと子供のころから、叔父さんの命令に従ってきた。もう、うんざりだ!もう子供じゃないんだ!

【アーニャの家】
ボルタ:トン、トン、トン。
テレサ:なに、それ?
ボルタ:私のお洋服。ミス・ゲイになるのよ。
テレサ:あなたが?あらまあ。
ボルタ:あなたの娘さんはどこ?これ、あの子に持ってきたんだけど。
テレサ:あなた、アーニャに甘いみたいだけど、デートの件はもうあの子とよく話したの。あんなデートに期待なんかしちゃだめって。
ボルタ:テレサ、あなた、自分の娘をどうしようと思ってるの?オールドミスにでもするつもり?ボーイフレンドは禁止?そんなのよくないわ。
テレサ:男なんて、トラブルのもとになるだけ。あの子には傷ついてほしくない。
ボルタ:テレサ、世の中の男すべてが、あなたのバーの客みたいなわけじゃないのよ。そうじゃないひとたちもいる。あの子に恋をさせてやりなさいよ。
テレサ:恋ですって?ふん、あの子が傷つくのを見たくない。
ボルタ:そりゃあそうだわ、傷つきたいひとなんていない。でも信じて、恋に落ちると、自分ではどうにもならないのよ。もう、どうしようもないの。私みたいにね。

【学校】
ホリー:アーニャ!アーニャ、信じられない!知ってるんでしょ?ジョシュ・ブラッドリーとのデートに選ばれたのよ!
アーニャ:うん、知ってる・・。
ホリー:行くのよ!あなたを大変身させなくちゃ!
アーニャ:ううん、デートには行かない。
ホリー:ええッ!?アーニャ、こんな機会、一生に一度もないのよ!行って、お願い!
アーニャ:じゃあ、ホリーが行ったら?ジョシュに会いたいんでしょ?
ホリー:でも、アーニャが選ばれたのよ。
アーニャ:なんで私が選ばれたのか、わかんない。メッセージ適当に書いたのに。
ホリー:そういうものよ。きっとツイてたのよ。
アーニャ:ホリー、もし私がほんとにツイてるなら、デートなんかより仕事が欲しいわ。
ホリー:アーニャ、とにかく行くのよ!もし私への借金を気にしてるなら、気にしないで。アーニャを大変身させるんだから~!
アーニャ:ねえホリー、もしほんとうに私を助けたいなら、デートに行かなくて済むよう手伝って。あなたが行ってよ。私じゃなくて、あなたが行くの。
 
 
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