Nandito Ako (8) [Nandito Ako]

Nandito Ako エピソード8


【庭】
ホリー:ジョシュ、早く!見て!触ってもいいのよ!
(動く銅像に囲まれる)
ジョシュ:うわあ、おもしろい!
ホリー:なにか言おうとしてた?
ジョシュ:なんでもない。ただ、母のこと思い出してたんだ。よく遊園地に連れてってくれたから。あの銅像たちのこと、なんで知ってたの?
ホリー:友だちが手配してくれたの。
ジョシュ:そうなんだ。
ホリー:私のお父さんがここにいればな。きっと喜んだ。

【キッチン】
ボディーガード:どこへ行った?

【コンサート楽屋】
チー:とにかく時間をかせぐのよ!
スティーブ:ジョシュはどこだ!!
チー:まだレストランなの。
スティーブ:あのくだらないデートの相手とまだいるのか!
チー:(電話に出て)もしもし? なんですって!!なんでそんなことになったの!?
スティーブ:ジョシュからか?いまどこだ?
チー:あのお相手と、逃げたって。
スティーブ:なんだって・・・。

【公園のブランコ】
ホリー:こんなシーン、前に夢に見たわ。
ジョシュ:なに?
ホリー:なんでもない。ただのひとりごと。
ジョシュ:今夜はありがとう。おかげで、母との思い出を懐かしく思い出したよ。
ホリー:お礼を言うのは私のほう。いろんなことがわかってよかった。あなたは一緒にいて楽しいひとだわ。
ジョシュ:きみもだよ。きみと一緒で楽しかった。(携帯が鳴る)チーからだ。
ホリー:ガールフレンド?
ジョシュ:ううん、マネージャーだよ。
ホリー:出たら?
ジョシュ:もしもし、チー?心配ないよ、だいじょうぶだから。すぐにそっちへ行く。じゃあ。(ホリーへ)ごめん。
ホリー:いいの。

【公園内】
ジョシュ:僕のお母さんはフィリピン人だった。だからずっと、この国に来たかったんだ。
ホリー:ほんとうに?
ジョシュ:うん。
ホリー:だからタガログ語がわかるのね。
ジョシュ:うん。(ポケットから時計のバンドを取り出す)
ホリー:なにそれ?
ジョシュ:これは、お母さんが死ぬ前に最後にくれたプレゼントなんだ。時計だったんだけど。
ホリー:なんで壊れちゃったの?
ジョシュ:15年前に、僕は火事でお母さんを亡くした。そのときに、僕と同じくらいの年の女の子がいて、言ってみればその子の命を救ったような感じなんだ。でも、僕は滑ってバルコニーから落ちそうになって、お互い、絶対に手を離さないって言いあった。その子は、僕の時計がちぎれるまで、僕の手をつかんでた。結果的に、消防隊の人が来てふたりとも助けてもらったけど・・・。
ホリー:その子はいま、どうしてるの?
ジョシュ:まったくわからない。名前すら聞いてないんだ。これだけしか残ってない。いつか、その子にまた会って、僕の命を救ってくれてありがとう、って言いたいんだ。でも、ありえないよね。あの火事がなかったら、お母さんを亡くすこともなかった。
ホリー:ジョシュ、あなたの気持ちがわかる。私は、お母さんと一緒にいても、お母さんはいないようなものなの。
ジョシュ:だいじょうぶ?
ホリー:だいじょうぶよ。じゃあ、もしまたお母さんと会えるならば、すべてを捨ててもいい?一緒にいるためなら、名声も、お金も、捨てられる?
ジョシュ:うん。もし、また会えるなら。
ホリー:私も。絶対に愛を選ぶわ。私の乳母が言うんだけど、人生には一度しか訪れないチャンスがあるって。それを逃しちゃだめ。それに、悲しいときや困難なときは、あなたの音楽を聴くの。そうすると幸せな気分に戻れる。
ジョシュ:きみは、僕のこと知らなかったんじゃないのか?手紙に、僕が誰なのかすら知らない、って書いてただろ?
ホリー:ううん、私が言いたかったのは・・・、音楽を聴いて、ときどき一緒に歌うってことよ。
ジョシュ:きみも歌を歌うの?
ホリー:ううん。私が歌ったら、雨が降っちゃう。
ジョシュ:歌ってみてよ!きみが歌うのを聴いてみたい!
ホリー:いやよ!雨が降るもん!

【クラブ】
クラブのママ:テレサ、VIPルームであなたに会いたがってるひとがいるわよ。早く行って。
同僚:やったわねえ!あなた、まだモテモテじゃないの!
テレサ:私、そういう小仕掛けはいやなの。もうそういうの、こりごりよ。
クラブのママ:その客は、ただ話がしたいんですって。もしそれ以上を求められたら、交渉しなさい。私の取り分もわすれないでよ!
同僚:どうしたのよ?自分の支払いのことを心配しなさいよ。ほら、行って!
テレサ:しょうがないわ。

【公園】
ジョシュ:あれはなに?
ホリー:バルートよ。食べてみたことある?
(ジョシュ、首をふる)
ホリー:友だちが、バルートみたいな屋台の食べ物の食べ方を教えてくれたの。ふたつください。

【クラブのVIPルーム】
マルガレート:私から逃げられるとでも思ってるの?
テレサ:なにが望みなのよ!
マルガレート:復讐よ!
テレサ:10年もたつのに、まだ忘れられないの!?
マルガレート:忘れるですって!?あんたのせいで私の家族が崩壊したのよ!あんたのせいで夫は死んだ!
テレサ:あれは事故よ!
マルガレート:事故ですって!見なさい、あんたはまだここで働いて、金づるになる男をあさってるくせに!恥知らずな女!
テレサ:私のこと、知りもしないくせに。あんたに私を批判する権利なんかない!
マルガレート:私があんたのこと知らないって?ふん、あんたがこんなだから、あんたの娘もどうせ同じ穴のむじなに決まってる!
テレサ:あんたはみんなの悪口を言ってるがいいわ!でも私には母親業があるのよ!
マルガレート:恥知らず!!
同僚たち:テレサ、やめるのよ!
マルガレート:この女をクビにしなさい!さもなければ、この店を潰してやるから!
 
  

【レストランの玄関】
ジョシュ:今夜はありがとう。
ホリー:ううん、こちらこそ、ありがとう。
ジョシュ:これからも連絡を取り合おう。ところで、どこに住んでるの?
ホリー:マカティよ。でも週末はバタンガスにいるの。
ジョシュ:ぼくのコンサートに来る?
ホリー:もちろん!チケットを買ったわ。
ジョシュ:きみを選んでよかった。
ホリー:ジョシュ、聞いて。あなたに言わなくちゃならない重要なことがあるの。私は、このコンテストで選ばれた女の子じゃない。私は、エピファニア・ディオニシオじゃない。私はホリー・ポサダスっていうの。

【アーニャの家】
(アーニャ、火事の夢を見てうなされる)
アーニャ:またあの子の夢だ・・。

【レストランの玄関】
ホリー:エピファニア・・・、アーニャ・ディオニシオは私の友だちなの。アーニャは、仕事があったから来れなかった。それで、私がデートしたがってたの、アーニャは知ってたから、譲ってくれたの。
ジョシュ:構わないよ。きみのおかげで今夜は楽しめたっていう事実に、変わりはないからね。
ホリー:怒らないの?
ジョシュ:ううん。秘密のままにしておけたのに、きみは本当のことを話すことを選んだ。えらいよ。それに、今日のデートはほんとに楽しかったし。でも、なんで本当のことを話そうと思ったの?
ホリー:この夜を、罪悪感のない思い出にしたかったから、話すことにしたの。完璧な夜にしたかった。
ジョシュ:その通り、完璧な夜だったよ。

【コンサート会場の楽屋】
スティーブ:ジョシュ、俺に心臓麻痺でもおこさせるつもりか!?何度言えばわかるんだ!ボデイガードなしで外に出るんじゃない。この国では、おまえはよそ者なんだ。
ジョシュ:ぼくはこの国でよそ者なんかじゃない。さあ、コンサート開始だ!!

【ステージ】
ジョシュ:ふうっ!みんな、サイコー!!きょう、あるひとが、完璧であることについて話したんだ。真実の大切さをね。ぼくも、この夜を完璧なものにしたい。だから、ずっと隠してきた秘密を、きょうここで話そうと思う。僕の母は歌手で、小さい頃よくこの歌を歌ってくれた。みんなにとっては馴染みのある歌だと思う。フィリピン人である母をたたえるため、この歌を歌いたい。そして、きみたちのために!
スティーブ:なんでこの歌を歌わせるんだ!

-Nandito Ako- 
知りたいことがある
聞いてもいいかい?
僕がずっと、きみを愛し続けてるって、きみは知ってる?
僕はずっと待ってるんだ
でもきみは 他のひとを愛していて
僕に気づかない
それでもわかってほしい
僕の心はきみだけのもの
僕はここにいて きみを愛し続けてる
心は傷つきながらも
もしその人が きみの元を去ることがあるなら
心配しないで きみを愛するひとがいる
僕は ここにいるから

【アーニャの家】
アーニャ:お母さん、早かったね。
テレサ:なんでまだ起きてるの?
アーニャ:なんか目が覚めちゃって。お母さん、なにかあったの?
テレサ:お母さんは、困ったことになっちゃった。客の態度が悪かったから反撃したら、仕事をクビになっちゃった。もう、仕事はないんだ。さ、この話はもう終わりにしよ。
アーニャ:お母さん、もしかして神さまが、クラブで働くのをやめなさいって言ってるんじゃないかな。
テレサ:でも、私たちはどうなるの?あなたと弟の学校は?生活費は?

【ホリーの家】
ヤヤ:ゆっくりですよ・・。
マルガレート:これくらいだいじょうぶよ、ヤヤ。
ホリー:お母さんはだいじょうぶなの、ヤヤ?
マルガレート:あんた、どこ行ってたの?
ホリー:お母さん、もう飲まないで・・。
マルガレート:放して!きょう、私がなにをしてきたか知ってる?あんたの父親の愛人に会ってきたのよ。
ホリー:なんですって?お母さん、そんなことするなんて!
マルガレート:あの女が働いてるクラブを知ってるんだから。でも、あれだけじゃ気が済まない。家族を壊された私の痛みと同じ痛みを、あの女にまた味あわせてやる!倍にして返してやる!手を放して!この子の面倒をみなさい!

【会場の外】
ミレーヌ:ジョシュ!ジョシュ、私、あなたのお母さん、カーラを知ってる!カーラはまだ生きてて、あなたを探してるわ!
ジョシュ:えっ??

【会場の外】
ミレーヌ:私はミレーヌよ!あなたのお母さんの友だちなの!カーラ、これ、あなたのお母さんでしょ?!お母さんはまだ生きてるわ!
スティーブ:そのおかしな女をつまみ出せ!!ジョシュ、いいか、あんなたわごとに耳を貸すな。さあ、行こう。
ミレーヌ:ジョシュ、お母さんのことで話があるのよ!ジョシュ!お母さんはまだあなたを探してるのよ!

【ホリーの家】
ヤヤ:あなたのお母さまがまだあのことを根に持っているなんて、思ってもみませんでしたよ。お母さまはまだ、お怒りでいっぱいです。
ホリー:ヤヤ、もうずいぶん昔のことなのに。でも、お母さんはそれほどお父さんのこと、愛してたってことなのかな。だから今まで、お父さんのあやまちから立ち直れずにきたんだわ。それが、誰かを愛するってことなのかも。
ヤヤ:ホリー、もし、あなたにそんな日が来たら、時間をかけて育むのですよ。ひとを愛すると素敵な気分になれるけど、失ったときは辛いですから。そうだわ、ジョシュとのデートはいかがでした?

【アーニャの家】
家主:これだけ?足りないじゃない。全額払うって言ったでしょ?
アーニャ:近いうちに補てんすると約束しますから。
家主:約束の日までに払えないのなら、出て行ってちょうだい!
テレサ:なんとかしますから。必ず払います。
家主:そうしてくださいな!もし払えないようなら、荷造りを始めとくことね!!
テレサ:あの人、自分のこの家が大邸宅だと思ってるらしいわ!どこかに引っ越せたらいいけど・・。アーニャ、私ほんとに仕事を見つけないと。でもどうやって?
アーニャ:お母さん、心配しないで。私がなんとかする。

【ホテルのロビー】
ビリー:ジョシュ?おい、なにしてんだ?もう行くぞ。フライトに乗り遅れる。
ジョシュ:(写真をつなぎ合わせて) ビリー、見ろ。お母さんはまだ生きてるって言ったあの女性、ほんとのこと言ってたんだ。
 
 
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Nandito Ako (7) [Nandito Ako]

Nandito Ako エピソード7


【学校】
アーニャ:これが、デートに選ばれた証明となる確認書よ。
ホリー:アーニャが選ばれたんだから、アーニャが行かなくちゃ。仕事を見つけるのは手伝ってあげるから。
アーニャ:ホリー、私はほんとうに行く気ないの。それに、そもそもホリーがいたから、私も申し込んだんだから。友達は助けあうもんだって、ホリー言ってたでしょ?私を助けると思って引き受けてくれない?そしたら私も、もうデートのことを考えなくて済む。
ホリー:でもアーニャ、私、気になっちゃう。ウソつくのと同じだもん。
アーニャ:そうかもね。だって、私もそういうフリするから。でも、誰かの害になるわけじゃないし、誰も傷つかないし。それに、他人に譲れる当選権もあるでしょ?そういうふうに考えようよ。
(ホリー、確認書を開く)
アーニャ:ジョシュになにか悪いことしようとしてるわけじゃないでしょ?彼を誘拐するとか。
ホリー:なによそれ?アーニャ、マジかと思えば冗談言って~。
アーニャ:ただ、はっきりさせときたかっただけ。

【ボルタのヘアサロン】
ボルタ:ホリーにジョシュ・ブラッドリーとのデート権を譲っちゃったの??
アーニャ:そうよ。だってほんとに行きたくないんだもん。時間の無駄だわ。
ボルタ:ありえないわ!!ジョシュ・ブラッドリーとのデートを拒否するなんて!それならあたしに譲ってくれればよかったのに。ジョシュは私の希望の星なのに~。
(アーニャ、悲しそうな顔をする)
ボルタ:あら、まだ借金のこと考えてるの?バカねえ!
アーニャ:私、ほんとうに仕事が必要なの。一度でもいいから、まとまったお金稼がないと。そしたら1か月分の家賃が払えて、ホリーにも借金を返せる。
ボルタ:ちょっと待つのよ、いい?(お金を取り出し) バングス、これ・・。あなたの問題を解決する手助けをしてあげる。ほんのちょっとだけど、どうか受け取って。
アーニャ:そんな、いいのよ。私ならだいじょうぶだから。
ボルタ:あたしのゴッド・チャイルド(キリストの洗礼の名づけ子)・・・。あたしはあなたのオカマのゴッド・マザー(名づけ親)でしょう?これはあたしの男たちのためのお金だけど、でもあなたにあげるわ。
アーニャ:ありがとう。

【ホリーの部屋】
ヤヤ:ホリー、身支度されて、おでかけですか?
ホリー:ヤヤ、私、ジョシュ・ブラッドリーとデートするの。
ヤヤ:まあホリー、ほんとうに?
ホリー:ほんとうよ。友達のアーニャがチケットをゲットしたんだけど、でも代わりに私に行ってって頼まれたの。
ヤヤ:待ってくださいよ、このこと、お母さまはご存じなの?
ホリー:ヤヤ、お母さんが行かせてくれるわけないの、知ってるでしょ。
ヤヤ:でも、もっとひどく怒られますよ。
ホリー:そんなことないわよ、もしヤヤが内緒にしてくれたらね。
ヤヤ:私まで同罪になさるつもりなの?
ホリー:ヤヤ、お願い~。
ヤヤ:わかりました。でも早く帰ってくるんですよ。
ホリー:約束する。
ヤヤ:ああもう、あなたに頼まれたら断れないわ。
ホリー:ありがとう、ヤヤ~。ジョシュ・ブラッドリーに会えるなんて、まだ信じられない!
マルガレート:(部屋に入ってきて)ジョシュ?ジョシュってどなた?どこに出かけるの?
ヤヤ:ホリーは学校で演劇をするんですって。ジョシュは相手役の名前です。
マルガレート:いったいなんなの、ホリー?学校からあなたの問題で電話が来たと思ったら、今度はそんなくだらないこと?まったく!大人になりなさい!
ホリー:お母さん、ごめんなさい。
マルガレート:あなたの言うごめんなさいなんて、どうでもいい。真剣に勉強して、お姉さんのオードリーみたいになりなさい!
メイド:奥さま、失礼します。ご友人さまからお電話がかかっております。とても大切なことだそうです。
(マルガレート、去る)
ホリー:お母さんは正しいわ。私、行かないほうがいいかも。お姉さんのオードリーだったらこんなことしない。お母さんを喜ばせるために、私、もっと別のいいことをするべきだわ。
ヤヤ:いいえ、あなたは行って、楽しんでくるべきですよ。
ホリー:でも、ヤヤ・・。
ヤヤ:お母さまは私がなんとかします。
ホリー:でも、もしクビになったら。
ヤヤ:私のことはいいんです。なんとかなりますよ。大切なのは、ホリーが楽しむこと。たった一度の人生、このチャンスを逃したらだめですよ。
ホリー:ヤヤ、ありがとう。

【アーニャの家】
(テレサ、指輪を見つめる。アーニャが帰宅)
テレサ:あら、帰ってきたの?!歌手とデートに行ったんだと思ってた。
アーニャ:ううん。ホリーに譲ったの。時間とお金の無駄だもの。
テレサ:その通り!あの歌手に好かれるだなんて期待したってダメ。貧乏から救いだしてくれる白馬の王子さまなんて、いないんだから。覚えておくのよ。自分の人生がどうなるかは、自分だけが頼りなんだよ。
マンド:よお、バングス!探してたんだぞ。あ、お母さん、こんばんは~。
テレサ:お母さん?私は、白馬の王子さまなんていないっていつも言ってるけど、だからって将来の義理の息子がこんな顔だなんて、夢にも思ったことないよ!
マンド:お母さん、ってのは冗談だよ。
アーニャ:マンド、なんの用なの?
マンド:俺のいとこの都合が悪くなってな、代わりの人を探してるんだ。マスコット役だ。こんなに稼げる仕事だなんて知らなかったんだけど、ひと晩3000ペソだってさ!それでおまえを思い出したんだ。おまえ、仕事が必要だっただろ?だから来たんだ。
アーニャ:でも、なんであんたがやらないの?
マンド:俺は、ほかに用事があるからできないんだ。おまえ、できるか?今夜、パサイのホテルでだってさ。
アーニャ:もちろんよ!
テレサ:ちょっと、ちょっと!違法とかなんじゃないの?
マンド:おいおい、テレサさんよ、この俺が、俺の最愛の将来の妻を、危険な目にあわせるわけがないだろ?
テレサ:うわっもうやめてよ!そんなこと言って恥ずかしいと思わないの?
アーニャ:もう、あんたは仕事だけ紹介してくれればいいのよお。

【ホテルの廊下】
パブリート:ダンナ、悲しそうな顔すねエ。デートが楽しみじゃないんで?
ジョシュ:デートなんかじゃないよ、パブリート。これも仕事のうちだ。
パブリート:んでも、デートはデートっすヨ。なにが起こるか、わかりませんですヨ?運命の恋人に出会うかもしれないじゃないっすか。フィリピン人は愛情深いっすからねエ。
ジョシュ:そんなこと、考えたことないよ。
パブリート:んでも、ガールフレンドなんかは?ほら、オナゴですだ。
ジョシュ:デートは何回かしたことあるよ。2人の女の子とつきあったことある。でも、ただの子供っぽいつきあいだよ。
パブリート:っつーことは、ダンナは、恋愛をしたことないんで?
ジョシュ:そういうのは、ないね。
パブリート:なんと・・・・・・。
ジョシュ:恋は魔法のようなものだって、お母さんがよく言ってた。でも、ぼくにはピンとこないね。
パブリート:それはっすねえ、こんな感じだス。恋をすると、まるで、お腹に羽が詰まったみたいになるんス。くすぐったいんスよ。ほら、コチョコチョって。それから、世界がバラ色に変わるんス。小鳥がピーピー飛びまわって。んで、いっちばん重要なことは、恋に落ちるとその瞬間、ベルが鳴るのがほんとうに聞こえるんすヨ。ベルの音が、恋に落ちた合図なんッすヨ、ダンナ。

【レストラン】
ウエイター:失礼ですが、エピファニア・ディオニシオさんですか?
ホリー:そうです。
ウエイター:身分証明書を拝見できますか?
(ホリー、身分証明書を見せる)
ウエイター:結構です。では中へどうぞ。ジョシュさんもこれからいらっしゃいます。

【イベント・ルーム】
雇い主:あなたが代わりのひと?
アーニャ:そうです。
雇い主:マスコットになった経験はある?
アーニャ:いいえ、初めてです。でも私、子どもは好きですし、やれると思います。
雇い主:もうしかたないわ。イベントは20分後に開始よ。司会者があなたを呼んだら、あのドアのとこに行ってね。
アーニャ:わかりました。
雇い主:じゃあ、着ぐるみを着て。
アーニャ:はい。ありがとうございます。

【トイレ】
アーニャ:(着ぐるみを見て)これ着たら1時間は脱げないわね。今のうち、トイレに行っとこ。

【ホテルの廊下】
チー:まず、デートの当選者とレストランで会って、ディナーを一緒に食べる。そして8時になったら、コンベンション・センターへ向かってね。あなたが到着した30分後にコンサート開始よ。
ジョシュ:わかったよ、チー。手順はわかってる。
チー:デートのお相手に優しくしてあげるのよ。フィリピンの女の子は結構おしとやかなんだから。
ジョシュ:はいはい、わかってます。
チー:じゃあ、がんばってね。
(ファンが押し寄せる)

【トイレ】
(トイレへ逃げ込むジョシュ。アーニャの着ぐるみを持ち去る。アーニャがトイレの個室から出てくる)
アーニャ:着ぐるみがない!

【ホテルの廊下】
(着ぐるみを着たジョシュを追いかけるアーニャ)
アーニャ:ちょっと!それ返して!どろぼう!返せ!!
 
 

【駐車場】
アーニャ:ちょっと!待ちなさい!着ぐるみを返して!!私、それがないと困るのよ!!
(ジョシュ転んで頭がとれる。アーニャと見つめあう)

【レストランのトイレ】
ホリー:(鏡の自分に向かって) だいじょうぶ、あなたならできるわ。頭がおかしいことなんて、ない。あなたならできる。ジョシュに気に入ってもらえるわ。

【駐車場】
アーニャ:あなたは・・!?
(ファンが追いかけてくる)
ジョシュ:ごめん!借りてくよ!
チー:(車のドアを開けながら)ジョシュ、早く乗って!
(ジョシュ、車に飛び乗って走り去る)

【レストランのトイレ】
ホリー:(鏡に向かって)「こんにちは、ジョシュ。わたしはアーニャです。」「ずっと、あなたとお会いしたかったんです。こうなるのを長いあいだ、夢見てました・・。」「こんにちは、ジョシュ。わたしはホリーです。」 あ、違う違う。「信じられない、ジョシュウ、あなたってなんてハンサムなのお。」 だめだめ。「愛してます[ハート]」 あ~ん、どうしよ~。もうジョシュ来てるかも。だいじょうぶよ、やれる。

【車の中】
チー:その着ぐるみ、どうしたのよ!?
ジョシュ:ちょっと複雑な事情が・・・。ともかく、あそこへ戻らなくちゃ。
チー:無理よ!デートのお相手が待ってるんだから。あなたをレストランでおろして、私はこのまま会場へ行くわ。まったく!ヘアを直しなさい!
(着ぐるみを脱ごうとする)
チー:早く脱ぎなさいよ!
ジョシュ:腰にひっかかってるんだ!

【レストラン】
ホリー:すみません、ジョシュ・ブラッドリーはほんとに来るのかしら?
ウエイター:はい、いらっしゃいます。お待たせしていて申し訳ありません。滞在しているホテルでちょっとゴタゴタがあって、遅れているそうです。
ホリー:わかったわ、ありがとう。

【イベント・ルーム】
雇い主:あんな大きな着ぐるみなのに、無くしたですって?
アーニャ:アメリカ人のひとが持ってっちゃったんです。ジョシュ・ブラッドリーです。
雇い主:そんなこと言って、ごまかす気なの?
アーニャ:いいえ・・・あの人がどうして着ぐるみを持っていっちゃったのか、わからないんです。つかまえようとしたんですけど、車が来て・・・。
雇い主:誰が持ってったのかなんてどうでもいいわ。早くここに持ってきなさい。お客さんたちが待ってるでしょ!?
アーニャ:彼がどこにいるのか、わからないんです。
雇い主:わからないですって?あの着ぐるみを無くすなんて、なんてバカな子なの。あれ、高かったのよ!
アーニャ:ごめんなさい。ほんとうにごめんなさい。
雇い主:ごめんじゃ済まないわ!もし今日のお客さんが料金を払わなかったら、あなたに払ってもらうわよ!それに警察を呼んで、刑務所に入れてやるから!

【レストラン】
ジョシュ:きみがエピファニアだね?はじめまして。遅れてごめん。この埋め合わせはするよ。
(ベルの音)
(パブリートの声:恋に落ちると、ベルの音が鳴るんッス。それが恋に落ちた合図ッスよ!!)
ホリー:どうかしたの?
ジョシュ:ううん、なんでもない、ごめん。さあ、席について。

【アーニャの近所】
マンド:アーニャ!
アーニャ:あ、マンド・・。
マンド:どうした、悲しそうな顔して。仕事してきたんだろ、いい稼ぎになったろ?なんでそんな顔してんだ?
アーニャ:さんざんな目にあったのよ。解雇されて、一銭も稼げなかった。着ぐるみがなくなって、借金だけが残った。
マンド:え?なんで?
アーニャ:盗まれたの。
マンド:信じられねえ・・・。マスコットの着ぐるみまで盗まれちまったのかよ。まて、盗んだやつはどいつなんだ?顔は見たのか?

【レストラン】
ジョシュ:遅れてごめん。いろいろあって・・・。着ぐるみを盗んでまで、ここに来たんだ。そうだ、きみの手紙はすごく面白かったよ。こんなデート、どうでもいいって書いてたよね。
ホリー:ほんと?そうだっけ・・・?
ジョシュ:うん、きみ、そう書いてたよ。覚えてないの?
(ホリー、アーニャのセリフを思い出している「なんで私が選ばれたのか、わかんない。メッセージ適当に書いたのに。」)
ホリー:そうそう、そんなこと書いたっけ。あなたには興味ないの。その通りよ。
ジョシュ:それに、僕のこと知らないって。
ホリー:(独り言)アーニャ、いったいなに書いたのよ~。
ジョシュ:なにか言った?
ホリー:いいえ。もし、私の手紙で気分を害したのなら、ごめんなさい。
ジョシュ:ううん、そんなことない。じつを言うと、それできみを選んだんだ。すごく興味をひかれたから。ところで、フィリピンの言葉でしゃべってもいいんだよ。
ホリー:タガログ語がわかるの?
ジョシュ:うん。
ホリー:じゃあ、しゃべれる?
ジョシュ:ちょっとならね。
ホリー:すごいわ!
ジョシュ:ありがとう。

【アーニャの家】
ボルタ:なんでそんな顔してるの?
アラジン:お姉ちゃんは着ぐるみをなくして、弁償しなくちゃならないんだ。
アーニャ:なくしてなんかいないわ!ジョシュ・ブラッドリーが盗んだのよ!
ボルタ:ちょちょちょ、ちょっとお~、聞きまちがいかしら?スーパースターのジョシュ・ブラッドリーが、着ぐるみを盗んだですって??
(アーニャ、うなずく)
ボルタ:いったいあなた、どんなドラッグやったの?気は確か?
アーニャ:ゴッド・マザー、本当なの。
ボルタ:ありえない!ジョシュ・ブラッドリーでしょ?あの有名な歌手の!
アーニャ:そうよ、そのひとよ。
ボルタ:ウソ・・・、ウソでしょ~!!いったいど~いうこと??
アーニャ:ファンに追いかけられて、私がいたトイレに駆け込んできたの。それで、私の着ぐるみをとって、それを着てファンから逃げたのよ。わかった?
ボルタ:いやああああ~~~!ウソよ、ウソでしょ~~!!それがどういうことだか、わかる?
アーニャ:なによ?ジョシュ・ブラッドリーはどろぼう、ってこと?
ボルタ:バカねえ。あんたたちふたりは出会う運命ってことよ!同志なのよ!いやーん。
アーニャ:ゴッド・マザー、どんなドラッグやってるの?気は確か?
ボルタ:よおくお聞き、あなた。わからないの?ジョシュに会うチャンスを、あなたはひとに譲ったのよね、そうでしょ?なのに、運命がまたふたりを引き合わせたのよ。まるで映画みたいに!信じらんない!すごいわ!もうこれは、ふたりは出会う運命だとしかありえないわ!
アーニャ:もし、あなたの言うように、運命の出会いが本当にあるとしたら、その相手はジョシュ・ブラッドリーじゃない。あの火事で私を救ってくれた、あの男の子とまた会えなくちゃ。あの子が私の同志じゃなくちゃ。あんな、盗癖のある男じゃなくて。

【レストラン】
ジョシュ:きみのお母さんは元気なの?
ホリー:お母さん?元気よ。
ジョシュ:僕くは、シングルマザーの女性をすごく尊敬してるんだ。ぼくの母もシングルマザーだったから。お母さんはなにをしているの?
ホリー:会社員よ。
ジョシュ:僕の母は、歌手だったんだ。
ホリー:”だった”?
ジョシュ:そう。僕が小さいときに、死んだんだ。
ホリー:まあ、それはお気の毒に・・。
ジョシュ:いいんだよ。
ホリー:もしお母さんが生きてたなら、あなたのこと、誇りに思ってるはずよ。
ジョシュ:うん。母が、歌うことを教えてくれたんだ。じつを言うと、母はいろんなことを教えてくれた。ハロハロの食べ方もね。デザートに頼もうか?
ホリー:いいわね!私もハロハロは大好き。
ジョシュ:ウエイターさん!デザートにハロハロをお願いできますか?
ウエイター:かしこまりました。
ジョシュ:ありがとう。

【アーニャの家】
(アーニャ、クロゼットから時計を取り出して見つめる。火事の回想シーン)
アーニャ:あの人はいま、どこに・・・。

【レストラン】
ホリー:ほら、世界的に有名な歌手にしては、あなたってごく普通の男性のように見えるわ。
ジョシュ:ぼくは普通の男だよ。ただ、普通じゃない仕事を持ってるだけ。誤解しないでほしいんだけど、ぼくは歌うのが大好きで、音楽はぼくの情熱だ。でも、ときどき昔の生活が恋しくなる。子どもの頃、母とぼくは毎日、海岸を散歩した。砂浜を走りまわったり、砂で遊んだりした。でも今のぼくは、ぜんぜん違う。なにをするにも、誰かが写真を撮ってまわる。それがいやだと言ってるんじゃない、それも仕事だってわかってる。でも、普通の生活が懐かしいんだ。もう、休暇らしい休暇を最後にとったのはいつかさえも、思い出せない。
ホリー:どんなことをしたいの?
ジョシュ:海岸を歩いたり、スキューバ・ダイビングもいいな・・・。でもぼくは、泳ぎさえうまくない。泳ぎの訓練よりもまず、ボーカル・コーチの訓練が優先したから。ときどき、1日でいいから透明人間になれたら、って空想するよ。
ホリー:待って、いい考えがあるわ。
ジョシュ:なに?
ホリー:いい場所があるの、あなたも気に入るはず。行きましょ!
ジョシュ:だめだよ、ボディーガードが許さない。
ホリー:私にまかせて。(ウエイターに)すみません!
ウエイター:いかがいたしました?
ホリー:ブラッドリーさんが、料理長に直接、素晴らしい料理のお礼を言いたいんですって。お会いできる?
ウエイター:もちろんです、いま参らせます。
ホリー:いいえ、私たちがキッチンへ行くわ。メイン・コースがどう料理されたのかも、見てみたいの。
ジョシュ:そうだね、料理長には会えますか?
ウエイター:かしこまりました。ではこちらへ。

【キッチン】
ホリー:あなたが料理長さんですか?すごくおいしい料理をありがとう!ところで出口はあちら?
料理長:あちらです。
(ホリーとジョシュ、出口へ向かう)
 
 
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Nandito Ako (6) [Nandito Ako]

Nandito Ako エピソード6


【ホリーの家】(回想シーン)
マルガレート:あなた、どこ行ってたの?朝に帰ってくるなんて、いったいなにしてたの?
ジェイム:取引先と飲みに行ってたんだ。
マルガレート:なにこれ?口紅じゃない?
ジェイム:今はやめてくれよ。
マルガレート:今はやめろですって?じゃあ、いつになったら愛人のことを話すつもり?
ジェイム:なに言ってる?
マルガレート:あなたが浮気してることくらい、知ってるのよ。恥知らず!
ジェイム:なんだって!
マルガレート:あなたの娘の母親になるため、私はすべてを犠牲にしたのに!こんな仕打ち、あんまりだわ!!
ジェイム:やめろ!
マルガレート:恥知らず!ウソはやめて!!

【病院】(回想シーン)
(テレサがジェイムにすがって泣いている)
マルガレート:あなた誰?
テレサ:あなたに連絡した者です。ごめんなさい、ジェイムは亡くなりました。
マルガレート:あんたが夫と一緒にいた女ね!あんたが私の夫を殺したんだ!この愛人め!!

【ホリーの家】
マルガレート:あれ以来会ってなかったけど、きのう偶然見たの。まだ生きてた。
マルガレートの友人:どうするつもり?まさか、何年もたった今ごろになって、復讐するつもりじゃないでしょうね?
マルガレート:できるならものなら、してやるわ。私が味わったのと同じ痛みを、あの女に味あわせてやる。

【お店】
ホリー:(店員に)はい、お金。(CDを受け取る)
ホリー:もうすぐ売り切れるとこだった。手に入ってよかったわ。ジョシュってほんとすてきなの。保証する。彼こそ私の王子さまで、もう私にはほんとに彼しかいないの~。だから、このプロモ絶対にとれなくちゃ、ありえない~。
アーニャ:(クーポンを拾って)ホリー、落としたよ。
ホリー:どこにあったの?
アーニャ:そこに落ちてたの。
ホリー:じゃ、もらっちゃいなさいよ。なにか書いて出したら?
アーニャ:え?でも私、ジョシュ・ブラッドリーなんて興味ないもん。
ホリー:なんでもいいのよ、ジョシュに言いたいことを書けば。いいこと書くのよ。私は、すっごく素敵なことを書くわ、そしたらジョシュが読んで、選んでくれるはず。

【スタジオ】
チー:ジョシュ!いまレーベルが連絡してきて、Nandito Akoの許諾が取れたって。ライブで歌えるわよ。
ジョシュ:よかった!ありがとう、チー。
チー:いいのよ。歌ってみたら?
(ジョシュ”Nandito Ako”を弾きながら歌う)
スティーブ:ちょっと失礼するが、それは、タガログ語の歌では?
ジョシュ:そうだけど?今夜のコンサートでやるんだ。
スティーブ:えーと、いったい誰が許可したんだ?
チー:レーベルに確認して、許可はもらってるわ。
スティーブ:いや、だめだ。だめだめ。曲目からはずすぞ。
ジョシュ:いいや、叔父さん。ぼくは歌うよ。お母さんへ捧げるんだ。
スティーブ:母親のこととなると、父親と同じように強情だな、おまえは。弟は、あの女への愛のために破滅した。おまえも同じように、あの女への愛のために破滅する気か。おまえは今夜、この歌を歌っちゃいけない。

【夜道】
アーニャ:あれで夕ご飯にしよう。ホリー、これ食べてみて。何ごとも経験よ、おいしいんだから。
ホリー:なんなの?
アーニャ:なにが。
ホリー:わたしのこと見て、笑ったでしょ。
アーニャ:ううん、ただ以前は、あなたはえり好みするタイプだと思ってたから、仲良くなんてできないと思った。でも、違った。
ホリー:アーニャ、あなたは親切にしてくれたもの。それに、私は親切にしてくれるひとに対しては、親切なのよ。これ、おいしい。

【アーニャの家】
テレサ:おかえり!遅かったね。
アーニャ:うん、ホリーに誘われたから、出かけてきたの。
テレサ:ホリーって、このあいだ来た子?あの子とお友だちになったの?
アーニャ:うん、お母さん。親切にしてくれるし、それに一緒にいて息があうの。でも・・・。
アラジン:でも、なに?
アーニャ:いつまで仲良くできるか、わかんない。
テレサ:どうして?
アーニャ:あの子のうち、すごいお金持ちなの。それにひきかえ、うちは・・・。
テレサ:あの子が金持ちで、うちが貧乏なら、なんだっていうの?
アラジン:そうだよ、お姉ちゃん。
テレサ:うちは貧乏だけど、でも悪い人間じゃないんだ。ホリーと仲良すればいいのよ!ほらなんなの?食べなさい!

【ホリーの家】
友人:なにか悪いことでもあったって顔してるわね。またホリーのこと?
マルガレート:きまってるわよ、あの子しかいないわ。あの子、私の家に不法居住者を連れてきたのよ。それで、お友だちだなんて言うんだから。
友人:まあまあ、マルガレート。友達くらい自由に選ばせてやったら?
マルガレート:ふん、あの子のバカな真似や気狂い沙汰を許したりなんかするもんですか。
友人:そんな言い方しなくても。ホリーはそれでもあなたの娘でしょ?
マルガレート:そう、娘よ。でもあの子を養子にしたのは、ジェイムの望みだったから。
友人:それでも、あの子は法的にはあなたの娘で、旦那さんはあの子を本当の娘のように愛したのよ。
マルガレート:そうよ、ジェイムはあの子を愛した。自分の本当の娘であるオードリーを忘れるほどにね。私は、夫の幸せのためならと受け入れたわ。なのに結局、夫は私を捨てて、あの安っぽい女を選んだ。
友人:いつになったらあなた、その怒りから自分を解放するの?もう10年以上もたつのよ。あなたの心は、まだ憎しみでいっぱいだわ。
マルガレート:ジェイムが私にしたこと、忘れやしない。ホリーを見るたび、ジェイムに傷つけられた痛みを思い出すの。

【学校】
ホリー:アーニャ、きのうの夜の私のお母さんのこと、ごめんね。
アーニャ:いいの。少なくとも、あなたは私に対してあういう態度はとらないってわかってるから。
ホリー:お母さんのことがよくわからない。お父さんが死んでから、いつも怒ってばかりいるの。じつは、どんどんひどくなってる。
アーニャ:誰か大切なひとを失うと、そうなっちゃうのよ。辛いものなのよ。
ホリー:でもあなたのお母さんは?アーニャだってお父さんを亡くしたんでしょ?
(アーニャ、うなずく)
ホリー:私のお母さんはほんとうにへんなのよ。アーニャ、私たちの両親はそんなふうにぜんぜん違うけど、それでも私たち、友達でいられるよね?
アーニャ:うん。
ホリーの友人:あらまあ?いったいどういうこと、ホリー?お母さんにはたかれて、友達を選ぶ目まで狂っちゃった?
ホリー:その通りよ!私はお母さんにはたかれた。でも、あなたたちはどこにいたの?気にもしなかったくせに。
ホリーの友人:それで、その負け犬の側についたってわけ?
アーニャ:ちょっと、だれが負け犬だっていうの?おとなしくしてればいい気になって。受けてたつわよ。
ホリー:そうよ、やめたほうがいいわよ。
ホリーの友人:んまあ!なんて怖いのかしら。あんたたち2人で組んで、私たちをやっつけられるとでも思ってるの?
アーニャ:ふん、もしあんたが鼻の整形をしてなくて、あんたが英語の落第生じゃなかったら、私も尻込みするとこね。あんたたち、自分のことをさも偉大かのように言うけど、くだらない人たちだわ。行こう、ホリー。
ホリー:それに、あなたたちにはひとに言えない秘密があるのよね。気を付けてね。

【学校の外】
アーニャ:あいつらの顔、おかしかった!
ホリー:ほんと!アーニャ、かばってくれてありがとう。
アーニャ:こちらこそ、ありがとう。私の味方をしてくれた。
ホリー:もちろんよ。なにがあっても私たちの友情を失わないでね。私、よくわかったの。もし友達になるなら、ただ私を利用しようとする人じゃなくて、本当の友達が欲しい。アーニャ、あなたが本当の友達だってわかるの。
アーニャ:ありがとう、ホリー。行こう!

【スタジオ】
チー:ジョシュ、最後のふたりまで絞り込んだわよ。私の選択はこれ。なにか意見あるなら聞かせて。読んであげようか?
(ジョシュ、無言)
チー:「目が覚めてあなたを思い、眠りについてあなたを思いこがれる。あなたの音楽は悲しみを遠ざけ、あなたを思う心が私を幸せにする。私はこの銀河一番のあなたのファンです。ホリー・ポサダス」 どう?
ジョシュ:どうでもいいよ。きみが好きなのを選べば?
ビリー:俺、選んでいい?これ、おもしろいんだ。ほら、ジョシュ、これおもしろいぜ。
チー:ああ、これね。おもしろいって言うか、普通じゃないわよね。「私は、あなたのことを知らない。あなたがどんな人なのかも、どうでもいい。私のお父さんは死んで、お母さんは私と弟を学校に通わせようと必死に働いてる。もっと大切なこと、考えなくちゃならないことを私は抱えている。だから、こんなことに興味ない。」この子、こんなデートには興味ないんだって。じゃあ、なんで申し込んだのかしら。
ビリー:変だよな。
チー:変よ。もう、こっちのにしましょうか。
ジョシュ:なんて名前?
チー:ホリー・ポサダス。
ジョシュ:もうひとつは?
チー:興味ないほう?
ジョシュ:そう。
チー/ビリー:エピファニア・ディオニシオ。
チー:誰を選ぶ?

 

【ホリーの部屋】
司会者:ジョシュ・ブラッドリーとのディナーを勝ち取った幸運な女性は・・・。
ホリー:どうか私でありますように・・・。ジョシュ、お願い私を選んで・・・。神さまお願い・・・。
司会者:エピファニア・ディオニシオさんです!おめでとうございます!
ホリー:アーニャ?アーニャが選ばれたの?

【アーニャの近所】
近所のひと:よかったわね!バングス、あなたほんとツイてるわ!
アーニャ:ええ、まあ・・。なんだかわかんないけど・・。
ボルタ:きゃあ~~~!あなたスゴイわあ!みんなをよくやぶったわネエ。
アーニャ:いったいなんなの?近所のみんなが、おめでとうって言うの。
ボルタ:あなた、選ばれたのよ!
アーニャ:なにに?
アラジン:デートだよ!
アーニャ:はあ?
ボルタ:あなた、知らないの?国際的人気歌手、ジョシュ・ブラッドリーとのデートの相手に選ばれたのよ。テレビで観たんだから。それでこれが送られてきたのよお。んもお~、おめでとう!
アーニャ:それで家賃が払えるっての?意味ないわ。
ボルタ:あなたって、えり好みするのねえ。ほらあ、白馬の王子さま、ジョシュ・ブラッドリーなのに、あなたったら。そうだ、あなたをう~んとかわいくしてあげる。行きましょ。なにが欲しい?すてきなヘア・スタイル?携帯?なんでも言って!
アーニャ:仕事が欲しいわ。それが、いま私に必要なもの。

【ホリーの部屋】
ヤヤ:なに考え込んでるの?悩みごとですか?
ホリー:ううん。ただ、落ち込んでるだけ。ジョシュとのデートに選ばれなかったから。ずっと夢見てたのに、負けちゃった。ジョシュと会って、たとえ少しのあいだでもお話したかった・・・。素敵な音楽で私に感動を与えてくれたお礼を言いたかった。
ヤヤ:そんなに落ち込まないでくださいな。ジョシュのコンサートに行くんでしょう?そうしたら、ジョシュに会えるじゃないの。
ホリー:私はだいじょうぶ、ヤヤ。私の友達、アーニャが選ばれたの。アーニャがかわりに私の夢を実現してくれるわ。

【ホテル】
チー:ジョシュ、デートにはなにを着てくの?
ジョシュ:なに?
チー:デートにはなにを着るのよ?
ジョシュ:ああ、いいよ、それで。ところで、今夜の段取りは?
チー:そうね、まずレストランに行って、そこでデートのお相手とディナーを食べるの。それがだいたい1時間くらい。そのあと、コンサート会場へ直行して、それからインタビュー。そんなとこね。
ジョシュ:わかった。それで、滞在を伸ばすことはできる?
チー:もうずいぶん長くここにいるでしょ。いったいまだなにがしたいの?
ジョシュ:もうちょっと長くいたいんだよ。
チー:悪いわね、ジョシュ。無理なのよ。あなただってわかってるでしょ。スティーブ叔父さんが許さないのよ。
ジョシュ:僕はずっと子供のころから、叔父さんの命令に従ってきた。もう、うんざりだ!もう子供じゃないんだ!

【アーニャの家】
ボルタ:トン、トン、トン。
テレサ:なに、それ?
ボルタ:私のお洋服。ミス・ゲイになるのよ。
テレサ:あなたが?あらまあ。
ボルタ:あなたの娘さんはどこ?これ、あの子に持ってきたんだけど。
テレサ:あなた、アーニャに甘いみたいだけど、デートの件はもうあの子とよく話したの。あんなデートに期待なんかしちゃだめって。
ボルタ:テレサ、あなた、自分の娘をどうしようと思ってるの?オールドミスにでもするつもり?ボーイフレンドは禁止?そんなのよくないわ。
テレサ:男なんて、トラブルのもとになるだけ。あの子には傷ついてほしくない。
ボルタ:テレサ、世の中の男すべてが、あなたのバーの客みたいなわけじゃないのよ。そうじゃないひとたちもいる。あの子に恋をさせてやりなさいよ。
テレサ:恋ですって?ふん、あの子が傷つくのを見たくない。
ボルタ:そりゃあそうだわ、傷つきたいひとなんていない。でも信じて、恋に落ちると、自分ではどうにもならないのよ。もう、どうしようもないの。私みたいにね。

【学校】
ホリー:アーニャ!アーニャ、信じられない!知ってるんでしょ?ジョシュ・ブラッドリーとのデートに選ばれたのよ!
アーニャ:うん、知ってる・・。
ホリー:行くのよ!あなたを大変身させなくちゃ!
アーニャ:ううん、デートには行かない。
ホリー:ええッ!?アーニャ、こんな機会、一生に一度もないのよ!行って、お願い!
アーニャ:じゃあ、ホリーが行ったら?ジョシュに会いたいんでしょ?
ホリー:でも、アーニャが選ばれたのよ。
アーニャ:なんで私が選ばれたのか、わかんない。メッセージ適当に書いたのに。
ホリー:そういうものよ。きっとツイてたのよ。
アーニャ:ホリー、もし私がほんとにツイてるなら、デートなんかより仕事が欲しいわ。
ホリー:アーニャ、とにかく行くのよ!もし私への借金を気にしてるなら、気にしないで。アーニャを大変身させるんだから~!
アーニャ:ねえホリー、もしほんとうに私を助けたいなら、デートに行かなくて済むよう手伝って。あなたが行ってよ。私じゃなくて、あなたが行くの。
 
 
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1か月 - デヴィッドのビデオブログ [David's Video Blog]

 
1か月 (2012/3/1)
3月はぼくが去る前の最後の月だってことをみんなに知らせたかった。すべてが落ち着くとこに落ち着かせるために今月は大忙しになるよ!音楽を作ってるからね!このビデオがまた長くてだらだらしてたらごめん。

theofficialarchuleta
やあみんな、デヴィッドだよ。ちょっとブログを撮っときたかったんだ、ここ家に戻っているあいだにね。家で楽しく過ごしてるよ。すごい雪だけどね、ほら見せてあげる。外では吹雪だったんだ。っていうか、外にきまってるよね、あはは。家の中が吹雪だったらやばいよ。そう、きのうの夜は吹雪で、風がすごかった。でも今はもう落ち着いて、溶けてきてる。ひどい景色でごめん、あんまりいい景色じゃないよね。でも、ちょっと見せようかなあと思っただけ。
ともかく、ぼくが話したかったのは、なんといってもまず、フィリピンではすごく楽しかったってこと。ほんとうに素晴らしかった。Nandito Akoの仲間に会いたいよ!Nandito Akoはもう放映が始まってて、もうほとんど第2週も終わるとこだけど、みんなが楽しんでてくれればいいな。TV5で観られないひともいるだろうけど、オンラインでも放映してるよね。ともかく、どのシーンが好きだとか、ドラマについてのみんなのコメントを読むのは楽しいよ。うさぎの着ぐるみにみんなが熱狂したのも知ってる。あははっ。
ともかく、ここ家では、家族との時間をすごく楽しんでる。それから、OPMアルバム”Forevermore”のマスター音源を聴いてる。このアルバムが出るのは・・・。(猫の声)ごめん、猫だ。そう、曲の完成へ向けていま取り組んでるとこだ。ジミー・アンティポルダと相談しながら、この限られた時間でできるだけいいものにしようとがんばってるよ。
それからここでは、アメリカでリリースするアルバムにも取り組んでる。いいカバー曲をやるつもりだ。ぼくが人生においてこの次に進んでいく道と調和するような曲になるよ。まあ、そういう曲は大好きでよく歌ってたから、今までとそれほど違わないだろうけど、でも、これから始まるぼくの人生の次の段階に沿ったものになる。それが、もうひとつ話したかったことなんだけど、あと1か月でその時がくる。この月が、ここでのぼくの最後の月だよ。つまり、こうやって家族と一緒にいたり、この世界と接点を持つのは最後だ。ぼくは、今月の終わりにミッションに出発する。っていうか、少なくともミッションへの準備の段階へ入るから、いままでのように連絡はとれなくなる。まあじつは、なにができて、なにができなくなるのか、まだ知らせを待ってるとこなんだけどね。たぶん月の終わりまでには、できることとできないことがわかると思う。
だからいまは、もうやんなきゃいけないことがてんこ盛りなんだ。OPMアルバム”Forevermore”を終わらせて、べつのアメリカでのアルバムを終わらせて・・・、っていうか、それも世界中のファンへのアルバムなんだけど。ぼくがやってることはすべて、みんなのためだから。ともかく、ぼくの好きな曲、素晴らしい曲が詰まったアメリカのアルバムを終わらせる。それから、じつはオリジナル曲にも取り組んでるんだ。これだけのことをやるには時間が少ないけど、でもじつのところぼくは、途方にくれたりパニクったりはしてないんだ。だって、いまんとこうまくいってるし、いい感触だから。ぼくのやってることすべてを、きみたちと分かちあうのが待ちきれない!だって、いくつかは、ぼくがここからいなくなるまでは公開されないものだからね!
だから、これがぼくの最後の月だし状況を知らせておきたかったんだ。この最後の1か月は、すごく忙しくなる。家族ともやるべきことをやって、一緒に過ごす。きみたちがこれまでにかけてくれた応援の言葉を嬉しく思ってる。ほら、郵便局に私書箱を作ったから、ぼくがここにいるうちと、いなくなっちゃったあとでも、なにかを送れるよ。みんなが、ぼくのやってることと接点を持てるよう、がんばってる。OPMアルバムは終わったから、次はこのアメリカのアルバムに取り組んでて、いいカバー曲を取り入れられると思う。まずは、もちろんみんなに音楽を残すことが第一の目的だけど、第二には、これが大切なことなんだけど、ぼくがやってることとみんなとのあいだをつなぐようなものを作りたいんだ。ミッションに行ってるあいだのぼくの心のありかた、ムードと同調するような曲を選びたかった。すごく楽しみだよ。いろんな感情が湧いてるけど、でもぼくは、今すごくいい気分だってことを知ってほしかった。すべては、正しい理由のために起こっていると感じてる。みんなが、新曲や、連載ドラマNandito Akoに興奮してるのを見るのは、すごくうれしい。
うわっ、もう6分だ!もっとうまく、簡潔にできればいいのに! カリがいなくて寂しいよ、この後ろだって、ただの鏡と”A”って言葉なんかがあるより、もっとおもしろかったし。あ、猫、ちょっと待ってて! (猫を捕まえにいく) この猫を飼い始めたとき、見せたことあるよね?もうこんなに大きくなったけど、カツだ。これがその猫。クールな奴で、最高なんだ。
ともかく、いまはそれだけ。これ以上はもう意味がないから、7分ものビデオでみんなの時間を無駄にしたくないからね。ただ、いま張り切っていろいろやってるってことを、知らせたかったんだ。この最後の1か月に、できるだけのことをする。なんかおもしろいことが起きたら、また知らせるね。あるいは残念なことに、おもしろくもなんともない話するかもしれないけど、ともかくまた、すぐに状況を知らせるから。じゃあ、またね。いい1日を、いい夜を! あるいはいつでも、いまきみが見てるこの時間帯に、いいときを過ごしてね!


デヴィッドへの郵便物を受け付ける私書箱の宛先はこちらです。

 David Archuleta
 PO Box 4297, Apopka,
 FL 32704
 USA

今からすでに受け付けています。知り合いが受け取ってミッション中でもデヴィッドに届けてくれるそうですので、デヴィッドに手紙やハガキを送ってみたらいかがでしょう?季節ごとにあいさつを送ってもよし、じっくり練った大作文を送ってもよし。なんせ、2年間ありますからね。
※ただ私書箱ですし、ましてやミッション中となれば、荷物になるものは送らないほうがいいと思います。
 

ついにあと1か月でデヴィッド、行っちゃうんですね。
そのあとの数年間の自分の生活と気持ちの持ちようがどうなるのか、イメージがわきません。デヴィッド以前の私って、どんな生活してたっけ? ま、今よりも家の中がきれいだったことは確かですが・・・。
 
 
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