Nandito Ako (25) 最終話 [Nandito Ako]
Nandito Ako エピソード25 -最終話
【コンサート会場】
ジョシュ:ホリー、きみにこの歌を捧げるよ。いろいろとありがとう。
(” Nandito Ako”を歌う)
【アーニャの家】
テレサ:まあ、アーニャ!なんで泣いてるの?!
アーニャ:私、ジョシュを完全に失っちゃった、お母さん。ジョシュは、ホリーをみんなに紹介したの。
テレサ:ホテルであなたを救った男の子はジョシュだと、伝えたの?あの火事があったホテルで!?
アーニャ:そんなことは、たぶんもうジョシュには意味がないの、お母さん。ふたりはもう出来上がってるんだから。ことを複雑にするだけ。
テレサ:なんでこうなっちゃうの?いつもあなたが犠牲になるのね。いつもあなたが、泣くことになるんだわ。
アラジン:でも、お姉ちゃんはみんなに愛されているよ!ぼくとか、マンドお兄ちゃんとか、ボルタおばちゃんとか!
【楽屋】
カーラ:おめでとう!
ビリー:やったな!すごくよかったぞ!
ホリー:ジョシュ、おめでとう。
ジョシュ:やあ!疲れただろうね。
ホリー:ううん、大丈夫。私、すごく元気が出たから、もうひとつあなたのコンサートを観に来れたくらいよ。なんでそんなに心配そうにしてるの?
ジョシュ:ただ気遣ってるだけだよ。
ビリー:じゃあ、あとでな。
ジョシュ:ああ、また。
(カーラ・チー・ビリーが去る)
ホリー:ありがとう、ジョシュ。
ジョシュ:なにが?
ホリー:私の夢をかなえてくれた。これで、私は死ねる。
ジョシュ:だめだ。
ホリー:だめって、どういう意味?
ジョシュ:僕に感謝なんていらない。
ホリー:感謝しなくちゃ。だって、あなたは私を幸せな気分にしてくれた。今まで生きてきて、こんなふうに感じたこと一度もなかったの。私が誰かの大切なひとだなんて。でも私は、あなたも幸せになってほしい。あなたとアーニャのことよ。あなたたちは運命のふたりなの、ジョシュ。アーニャは、意味もなくあなたを遠ざけたりしない。私のために、したことなの。アーニャは、私の秘密を知っていた。
【ホリーの家】(回想シーン)
ホリー:ヤヤ、あなたはウソがへたね。なにか私に言うことはないの?さあ、言って。
ヤヤ:私のこと、怒らないでくださいね。あなたのお友達に、病気のことは言わないって約束しました。でも先日、アーニャが病院を訪ねて来たんです。私は、アーニャを部屋に入れませんでした。というのも、あなたのこんな姿を見せたくなかったからです。でも、あなたの病状を秘密にしておくことができなくて、結局アーニャに話してしまったんです。
ホリー:アーニャは私の病気を知ってるのね。じゃあ、アーニャは、私のためにジョシュと別れたんだわ。
ヤヤ:私はただ、あなたに幸せになってほしくて・・・。
ホリー:ヤヤ・・・。私だって幸せになりたいわ、ヤヤ。でも、そのために誰かを傷つけるなんて、できない。私はジョシュを愛してるの。だからといって、自分の病気を、彼を獲得するために利用したくない。それに、アーニャは、私のために犠牲を払った。
【コンサート楽屋】
ジョシュ:そんなふうに思わせちゃって、ごめん。
ホリー:ううん、謝らないで。あなたも、私に幸せになって欲しかったんだって、わかってる。だから、アーニャじゃなくて私を選んでくれたのよね。
ジョシュ:ホリー、きみはなんにもわかっちゃいない。あれは、僕の本心だよ。きみは、僕の人生を変えてくれた。きみは僕の大切なひとなんだ。きみのこと、もっと知りたい。
ホリー:私やあなた自身を、納得させようとしなくてもいいのよ、ジョシュ。私、あなたが好きだってこと否定はしない。でも、私はもうじゅうぶん幸せ。あなたと知りあって、あなたと一緒に過ごせた。そのうえ、あなたは私の友達になってくれた。運命で結ばれたふたりのあいだに入って邪魔をするなんて、私には耐えられない。あなたたちのことよ、ジョシュ。あなたと、アーニャのこと。
【アーニャの家】
マンド:じゃ、からだに気をつけてな。俺のこと忘れんな。
アーニャ:さあ、お別れのハグしてよ!
テレサ:マンド!行儀よくするのよ?もうゴタゴタはご免だからね、問題起こすんじゃないわよ。
マンド:おばさんにめんじて行儀よくするよ。おい、じゃあアラジン、お母さんとアーニャに面倒かけるなよ!
アラジン:あったりまえだよ、お兄ちゃん!
【廊下】
(ジョシュが急ぐ)
カーラ:どこに行くの?
ジョシュ:お母さん、僕、アーニャに会いに行かないと。
チー:え?ホリーを選んだと思ってた。ワケわかんない!どういうこと?
ジョシュ:アーニャはホリーのために、僕をふったんだ。ホリーは病気なんだよ。もう先が長くないんだ。だからアーニャは、僕とホリーが一緒になるようにと、僕の元を去ることを選んだんだ。
カーラ:ホリーのことは、とても気の毒だわ。でも、アーニャはあなたを本当に愛してるってことだわ。それにアーニャにとって、ホリーも大切なひとだということよ。
パブリート:口を挟んですんませんが、ダンナの言う通りだと思いますダ。じつは、アーニャさんは今日、ここに来てたんス。でも、ジョシュのダンナがホリーさんに歌を歌っているのを見て、会場を出て行ったんス。それで、これを落としていきましたダ。
(時計を差し出す)
【廊下】
カーラ:ジョシュ!これ、私があなたにあげた時計だわ!
ジョシュ:バンドが・・・。
カーラ:と言うことは・・・!
ジョシュ:火事で僕の命を救った女の子は・・・、アーニャだったんだ!僕、行かないと!
ビリー:俺も行くぜ!パブリート、車を頼む!さあ行こう!
【ホリーの家】
マルガレート:どうして、あんなことしたの?
ホリー:あんなことって?
マルガレート:ジョシュを手放したことよ。
ホリー:私、気がついたの・・・。愛は、自分勝手なものじゃないって。愛とは、寛大なもの。懐が深いもの。ジョシュとアーニャが、それを教えてくれた。 ふたりにとって、自分たちよりも、私が幸せになることが第一だったの。
マルガレート:あなたがとても誇らしい、わが娘。あなたはとても大人だわ。今頃こんなこと言って、ごめんなさい。私は憎しみのせいで、なにも見えていなかったの。
ホリー:お母さん、そんなことはもう忘れたわ。私たちの過去の一部にすぎない。
マルガレート:いまが私、テレサとのいざこざを収めるべき時かもしれない。
ホリー:それはとてもいいことだわ、お母さん。私も、お母さんのことが誇らしい。
【アーニャの家】
アーニャ:マンド、どうもありがとう。あなたが私の良き友達でいてくれたことへの、お返しができればいいんだけど。
マンド:ただ、幸せになってくれ。それが、俺へのお返しだよ。
アーニャ:ほんとにありがとう、マンド。
【車の中】
ジョシュ:パブリート、もっと速く走れないか?
パブリート:ガッテンだ!
ビリー:よお兄弟、落ち着けよ!
ジョシュ:悪いな。気が急いてだめだ。
【アーニャの家】
テレサ:アーニャ、汗かいてるわよ。
アーニャ:大丈夫よ、ハンカチ持ってるから。(ポケットを探る)
ボルタ:忘れ物?
テレサ:なにか失くしたの?
アーニャ:時計のバンド・・・。あのジョシュのバンドよ。
テレサ:えっ?そっちのバッグに入ってるんじゃない?こっちは?
アーニャ:お母さん、コンサート会場で落としたのかも・・・。 もういいよ。って言うか、ジョシュを思い出すものなんか、持ってないほうがいいかも。
テレサ:じゃあ、行きましょ!バスに乗り遅れるわ!
【車の中】
(ビリーがパブリートをせかす)
【ホリーの家】
(ホリーを頭痛が襲う)
【アーニャの家】
ジョシュ:アーニャ!アーニャ、待ってくれ!話があるんだ、聞いてくれ。
アーニャ:私たちに話すことなんてなにもない。もう行かせて。私たちにとって、こうするのが一番なのよ。
ジョシュ:15年前、僕はある女の子に勇敢にも命を救われた。でも、その子の名前を聞くことすらできなかった。いつかまた、その子に会える日が来るのを、ずっと願ってきた。そうしたら、その子の名前を聞いて、友達になる。そのうち、もしかしたらその子のことが好きになるかもしれない。もしそんな日が来たら、、もう決してその子の手を離さないって心に決めたんだ。その女の子は、いま僕のすぐ目の前にいる。その子がまた、僕から離れるようなことがあれば、引き止めるため僕はなんだってする。二度とそんなことはさせない。行くな、アーニャ。(時計を取り出して)愛してる、アーニャ。
(抱き合う)
アーニャ:私もあなたのこと、とてもとても愛してるわ、ジョシュ。あなたをしっかりと、つかまえててあげなかったこと、許して。
ジョシュ:謝らなくていいんだ。ホリーが全部、話してくれた。
アーニャ:ホリーが?ホリーはなんて言ってたの?
ジョシュ:僕が知るべきことをすべて教えてくれたよ。きみはホリーのために、自分の幸せを犠牲にしたんだ。それを知って、きみを誇りに思う気持ちがもっと強くなった。
(アーニャの携帯が鳴る)
アーニャ:もしもし?ヤヤ・ロサ?
【病院】
ホリー:お母さん・・・。お母さん・・・。
マルガレート:よかった、目が覚めて。気分はどう?先生を呼ぶわね。
ホリー:お母さん、私は大丈夫。そばにいてくれる?残り少ない時間を、お母さんとできるだけ過ごしたいの。
マルガレート:そんなふうに言わないで・・・。一緒にいる時間はまだまだあるのよ、忘れたの?
ホリー:私、もう死ぬんだわ、お母さん。でも心の準備はできてる。私は幸せ・・・。お母さんに愛されながら、お別れができるから・・・。お母さん、とても愛してる。
マルガレート:娘よ、私も愛してるわ・・・。あなたへの償いがまだ終わってないのよ。もっと時間が欲しい。そうすれば、もっと一緒にいられるのに・・・。わが子・・。
ホリー:ヤヤ・・・。ヤヤ、私によくしてくれてありがとう。あなたがいなかったら、私はどうなってたかわからない・・・。ありがとう、ヤヤ。
【病院の廊下】
ジョシュ:ここへ来るってこと、事前に電話かメールできなくてすみません。ホリーのようすを見に来ました。
アーニャ:ヤヤ・ロサが電話してきたんです。それで、ホリーの具合が知りたくて、来たんです。
マルガレート:中に入って、会ってあげて。ホリーはあなたたちを待ってたの。あなたたちが来てくれて、きっと喜ぶわ。
アーニャ:ありがとうございます。
ジョシュ:ありがとう。
ビリー:あ~・・・、おばさん?俺はちょっと、飲み物でも買ってくる。なにか欲しい?
テレサ:私はいいわ。行ってきなさい。
マルガレート:テレサ。私があなたにしたこと、許してくれるかしら。私は傷ついていたの。だから、あんなことをしてしまった。どうか、許して。
テレサ:私のほうこそ、あなたにしたことを、許してくれるかしら。
マルガレート:じゃあ、過去のことはもう、お互い水に流せる?
【病室】
ホリー:アーニャ、本当にどうもありがとう。あなたがお友達でいてくれて、私は幸せだわ。私があなたにしたこと、許してほしい。
アーニャ:あなたは、なんにも悪くない。あなたが許しを請うようなことは、なにもないのよ。気分はどう?
ホリー:大丈夫よ。心配しないで。私、あなたたちのことが嬉しいの。
ジョシュ:(時計のバンドを見せて)これ、覚えてる?僕の命を救ってくれた女の子のこと?
ホリー:ふたりだったのね?
アーニャ:(うなづいて)ホリー、もしあなたがいなかったら、ジョシュと私がまた会うことはなかった。どうもありがとう。
ホリー:お礼なんていいいの、アーニャ。あなたたちは、すでに出会っていた。私はただ、また会うきっかけだったにすぎないの。あなたたちふたりのこと、本当に嬉しいわ。
ジョシュ:それでもやっぱり、きみのおかげだよ。きみが僕たちにしてくれたこと、絶対に忘れない。きみは僕の未来を明るくしてくれた。だから、早く良くなって。それで、一緒に過ごそう。そうだよね、アーニャ?
アーニャ:そうよ。一緒に出掛けようね。いい?幸せになるの。
ホリー:うん、そうね。3人で、いつまでも幸せに。私たちの幸せな時間をぜんぶ、一緒に持っていくわ。私がどこへ行こうと・・・。ねえジョシュ・・・。
ジョシュ:なに?
ホリー:(ジョシュになにかつぶやく)
ジョシュ:約束するよ、ホリー。約束する。
ホリー:大好きよ、アーニャ。とても、とても大好き。大好きよ、ジョシュ。本当に本当に、どうもありがとう・・・。
(ホリー、亡くなる)
アーニャ:おばさん・・・。
マルガレート:ホリー? 私の娘・・・。まだ行かないで・・・!
【ホテルの噴水】
アラジン:お母さん、見て!お姉ちゃんが凧をあげてる!
アーニャ:ジョシュ、見て!
ジョシュ:ホリーがこれを見たら喜ぶぞ!
アーニャ:あなたのためにこの凧をあげてるのよ、ホリー。私の親友。
アーニャ:ねえジョシュ。ホリーは最後にさよならを言う前に、あなたに何か言ってたわよね。聞いてもいい?
ジョシュ:約束してほしいって。
アーニャ:なんの約束?
ジョシュ:一生、きみのそばにいるってこと。なにがあっても。僕はきみのそばにいる。
アーニャ:私も、ずっとあなたのそばにいるわ、ジョシュ。愛してる。
ジョシュ:僕も、とてもとても、とても愛してるよ、アーニャ。
(ホリー:運命には逆らえないなんて、うそだわ。それは凧をあげるようなもの。凧を空高く昇らせるのは風だけじゃない。凧糸を握る、そのひとの腕にもかかっているの。)
【コンサート会場】
ジョシュ:ホリー、きみにこの歌を捧げるよ。いろいろとありがとう。
(” Nandito Ako”を歌う)
【アーニャの家】
テレサ:まあ、アーニャ!なんで泣いてるの?!
アーニャ:私、ジョシュを完全に失っちゃった、お母さん。ジョシュは、ホリーをみんなに紹介したの。
テレサ:ホテルであなたを救った男の子はジョシュだと、伝えたの?あの火事があったホテルで!?
アーニャ:そんなことは、たぶんもうジョシュには意味がないの、お母さん。ふたりはもう出来上がってるんだから。ことを複雑にするだけ。
テレサ:なんでこうなっちゃうの?いつもあなたが犠牲になるのね。いつもあなたが、泣くことになるんだわ。
アラジン:でも、お姉ちゃんはみんなに愛されているよ!ぼくとか、マンドお兄ちゃんとか、ボルタおばちゃんとか!
【楽屋】
カーラ:おめでとう!
ビリー:やったな!すごくよかったぞ!
ホリー:ジョシュ、おめでとう。
ジョシュ:やあ!疲れただろうね。
ホリー:ううん、大丈夫。私、すごく元気が出たから、もうひとつあなたのコンサートを観に来れたくらいよ。なんでそんなに心配そうにしてるの?
ジョシュ:ただ気遣ってるだけだよ。
ビリー:じゃあ、あとでな。
ジョシュ:ああ、また。
(カーラ・チー・ビリーが去る)
ホリー:ありがとう、ジョシュ。
ジョシュ:なにが?
ホリー:私の夢をかなえてくれた。これで、私は死ねる。
ジョシュ:だめだ。
ホリー:だめって、どういう意味?
ジョシュ:僕に感謝なんていらない。
ホリー:感謝しなくちゃ。だって、あなたは私を幸せな気分にしてくれた。今まで生きてきて、こんなふうに感じたこと一度もなかったの。私が誰かの大切なひとだなんて。でも私は、あなたも幸せになってほしい。あなたとアーニャのことよ。あなたたちは運命のふたりなの、ジョシュ。アーニャは、意味もなくあなたを遠ざけたりしない。私のために、したことなの。アーニャは、私の秘密を知っていた。
【ホリーの家】(回想シーン)
ホリー:ヤヤ、あなたはウソがへたね。なにか私に言うことはないの?さあ、言って。
ヤヤ:私のこと、怒らないでくださいね。あなたのお友達に、病気のことは言わないって約束しました。でも先日、アーニャが病院を訪ねて来たんです。私は、アーニャを部屋に入れませんでした。というのも、あなたのこんな姿を見せたくなかったからです。でも、あなたの病状を秘密にしておくことができなくて、結局アーニャに話してしまったんです。
ホリー:アーニャは私の病気を知ってるのね。じゃあ、アーニャは、私のためにジョシュと別れたんだわ。
ヤヤ:私はただ、あなたに幸せになってほしくて・・・。
ホリー:ヤヤ・・・。私だって幸せになりたいわ、ヤヤ。でも、そのために誰かを傷つけるなんて、できない。私はジョシュを愛してるの。だからといって、自分の病気を、彼を獲得するために利用したくない。それに、アーニャは、私のために犠牲を払った。
【コンサート楽屋】
ジョシュ:そんなふうに思わせちゃって、ごめん。
ホリー:ううん、謝らないで。あなたも、私に幸せになって欲しかったんだって、わかってる。だから、アーニャじゃなくて私を選んでくれたのよね。
ジョシュ:ホリー、きみはなんにもわかっちゃいない。あれは、僕の本心だよ。きみは、僕の人生を変えてくれた。きみは僕の大切なひとなんだ。きみのこと、もっと知りたい。
ホリー:私やあなた自身を、納得させようとしなくてもいいのよ、ジョシュ。私、あなたが好きだってこと否定はしない。でも、私はもうじゅうぶん幸せ。あなたと知りあって、あなたと一緒に過ごせた。そのうえ、あなたは私の友達になってくれた。運命で結ばれたふたりのあいだに入って邪魔をするなんて、私には耐えられない。あなたたちのことよ、ジョシュ。あなたと、アーニャのこと。
【アーニャの家】
マンド:じゃ、からだに気をつけてな。俺のこと忘れんな。
アーニャ:さあ、お別れのハグしてよ!
テレサ:マンド!行儀よくするのよ?もうゴタゴタはご免だからね、問題起こすんじゃないわよ。
マンド:おばさんにめんじて行儀よくするよ。おい、じゃあアラジン、お母さんとアーニャに面倒かけるなよ!
アラジン:あったりまえだよ、お兄ちゃん!
【廊下】
(ジョシュが急ぐ)
カーラ:どこに行くの?
ジョシュ:お母さん、僕、アーニャに会いに行かないと。
チー:え?ホリーを選んだと思ってた。ワケわかんない!どういうこと?
ジョシュ:アーニャはホリーのために、僕をふったんだ。ホリーは病気なんだよ。もう先が長くないんだ。だからアーニャは、僕とホリーが一緒になるようにと、僕の元を去ることを選んだんだ。
カーラ:ホリーのことは、とても気の毒だわ。でも、アーニャはあなたを本当に愛してるってことだわ。それにアーニャにとって、ホリーも大切なひとだということよ。
パブリート:口を挟んですんませんが、ダンナの言う通りだと思いますダ。じつは、アーニャさんは今日、ここに来てたんス。でも、ジョシュのダンナがホリーさんに歌を歌っているのを見て、会場を出て行ったんス。それで、これを落としていきましたダ。
(時計を差し出す)
【廊下】
カーラ:ジョシュ!これ、私があなたにあげた時計だわ!
ジョシュ:バンドが・・・。
カーラ:と言うことは・・・!
ジョシュ:火事で僕の命を救った女の子は・・・、アーニャだったんだ!僕、行かないと!
ビリー:俺も行くぜ!パブリート、車を頼む!さあ行こう!
【ホリーの家】
マルガレート:どうして、あんなことしたの?
ホリー:あんなことって?
マルガレート:ジョシュを手放したことよ。
ホリー:私、気がついたの・・・。愛は、自分勝手なものじゃないって。愛とは、寛大なもの。懐が深いもの。ジョシュとアーニャが、それを教えてくれた。 ふたりにとって、自分たちよりも、私が幸せになることが第一だったの。
マルガレート:あなたがとても誇らしい、わが娘。あなたはとても大人だわ。今頃こんなこと言って、ごめんなさい。私は憎しみのせいで、なにも見えていなかったの。
ホリー:お母さん、そんなことはもう忘れたわ。私たちの過去の一部にすぎない。
マルガレート:いまが私、テレサとのいざこざを収めるべき時かもしれない。
ホリー:それはとてもいいことだわ、お母さん。私も、お母さんのことが誇らしい。
【アーニャの家】
アーニャ:マンド、どうもありがとう。あなたが私の良き友達でいてくれたことへの、お返しができればいいんだけど。
マンド:ただ、幸せになってくれ。それが、俺へのお返しだよ。
アーニャ:ほんとにありがとう、マンド。
【車の中】
ジョシュ:パブリート、もっと速く走れないか?
パブリート:ガッテンだ!
ビリー:よお兄弟、落ち着けよ!
ジョシュ:悪いな。気が急いてだめだ。
【アーニャの家】
テレサ:アーニャ、汗かいてるわよ。
アーニャ:大丈夫よ、ハンカチ持ってるから。(ポケットを探る)
ボルタ:忘れ物?
テレサ:なにか失くしたの?
アーニャ:時計のバンド・・・。あのジョシュのバンドよ。
テレサ:えっ?そっちのバッグに入ってるんじゃない?こっちは?
アーニャ:お母さん、コンサート会場で落としたのかも・・・。 もういいよ。って言うか、ジョシュを思い出すものなんか、持ってないほうがいいかも。
テレサ:じゃあ、行きましょ!バスに乗り遅れるわ!
【車の中】
(ビリーがパブリートをせかす)
【ホリーの家】
(ホリーを頭痛が襲う)
【アーニャの家】
ジョシュ:アーニャ!アーニャ、待ってくれ!話があるんだ、聞いてくれ。
アーニャ:私たちに話すことなんてなにもない。もう行かせて。私たちにとって、こうするのが一番なのよ。
ジョシュ:15年前、僕はある女の子に勇敢にも命を救われた。でも、その子の名前を聞くことすらできなかった。いつかまた、その子に会える日が来るのを、ずっと願ってきた。そうしたら、その子の名前を聞いて、友達になる。そのうち、もしかしたらその子のことが好きになるかもしれない。もしそんな日が来たら、、もう決してその子の手を離さないって心に決めたんだ。その女の子は、いま僕のすぐ目の前にいる。その子がまた、僕から離れるようなことがあれば、引き止めるため僕はなんだってする。二度とそんなことはさせない。行くな、アーニャ。(時計を取り出して)愛してる、アーニャ。
(抱き合う)
アーニャ:私もあなたのこと、とてもとても愛してるわ、ジョシュ。あなたをしっかりと、つかまえててあげなかったこと、許して。
ジョシュ:謝らなくていいんだ。ホリーが全部、話してくれた。
アーニャ:ホリーが?ホリーはなんて言ってたの?
ジョシュ:僕が知るべきことをすべて教えてくれたよ。きみはホリーのために、自分の幸せを犠牲にしたんだ。それを知って、きみを誇りに思う気持ちがもっと強くなった。
(アーニャの携帯が鳴る)
アーニャ:もしもし?ヤヤ・ロサ?
【病院】
ホリー:お母さん・・・。お母さん・・・。
マルガレート:よかった、目が覚めて。気分はどう?先生を呼ぶわね。
ホリー:お母さん、私は大丈夫。そばにいてくれる?残り少ない時間を、お母さんとできるだけ過ごしたいの。
マルガレート:そんなふうに言わないで・・・。一緒にいる時間はまだまだあるのよ、忘れたの?
ホリー:私、もう死ぬんだわ、お母さん。でも心の準備はできてる。私は幸せ・・・。お母さんに愛されながら、お別れができるから・・・。お母さん、とても愛してる。
マルガレート:娘よ、私も愛してるわ・・・。あなたへの償いがまだ終わってないのよ。もっと時間が欲しい。そうすれば、もっと一緒にいられるのに・・・。わが子・・。
ホリー:ヤヤ・・・。ヤヤ、私によくしてくれてありがとう。あなたがいなかったら、私はどうなってたかわからない・・・。ありがとう、ヤヤ。
【病院の廊下】
ジョシュ:ここへ来るってこと、事前に電話かメールできなくてすみません。ホリーのようすを見に来ました。
アーニャ:ヤヤ・ロサが電話してきたんです。それで、ホリーの具合が知りたくて、来たんです。
マルガレート:中に入って、会ってあげて。ホリーはあなたたちを待ってたの。あなたたちが来てくれて、きっと喜ぶわ。
アーニャ:ありがとうございます。
ジョシュ:ありがとう。
ビリー:あ~・・・、おばさん?俺はちょっと、飲み物でも買ってくる。なにか欲しい?
テレサ:私はいいわ。行ってきなさい。
マルガレート:テレサ。私があなたにしたこと、許してくれるかしら。私は傷ついていたの。だから、あんなことをしてしまった。どうか、許して。
テレサ:私のほうこそ、あなたにしたことを、許してくれるかしら。
マルガレート:じゃあ、過去のことはもう、お互い水に流せる?
【病室】
ホリー:アーニャ、本当にどうもありがとう。あなたがお友達でいてくれて、私は幸せだわ。私があなたにしたこと、許してほしい。
アーニャ:あなたは、なんにも悪くない。あなたが許しを請うようなことは、なにもないのよ。気分はどう?
ホリー:大丈夫よ。心配しないで。私、あなたたちのことが嬉しいの。
ジョシュ:(時計のバンドを見せて)これ、覚えてる?僕の命を救ってくれた女の子のこと?
ホリー:ふたりだったのね?
アーニャ:(うなづいて)ホリー、もしあなたがいなかったら、ジョシュと私がまた会うことはなかった。どうもありがとう。
ホリー:お礼なんていいいの、アーニャ。あなたたちは、すでに出会っていた。私はただ、また会うきっかけだったにすぎないの。あなたたちふたりのこと、本当に嬉しいわ。
ジョシュ:それでもやっぱり、きみのおかげだよ。きみが僕たちにしてくれたこと、絶対に忘れない。きみは僕の未来を明るくしてくれた。だから、早く良くなって。それで、一緒に過ごそう。そうだよね、アーニャ?
アーニャ:そうよ。一緒に出掛けようね。いい?幸せになるの。
ホリー:うん、そうね。3人で、いつまでも幸せに。私たちの幸せな時間をぜんぶ、一緒に持っていくわ。私がどこへ行こうと・・・。ねえジョシュ・・・。
ジョシュ:なに?
ホリー:(ジョシュになにかつぶやく)
ジョシュ:約束するよ、ホリー。約束する。
ホリー:大好きよ、アーニャ。とても、とても大好き。大好きよ、ジョシュ。本当に本当に、どうもありがとう・・・。
(ホリー、亡くなる)
アーニャ:おばさん・・・。
マルガレート:ホリー? 私の娘・・・。まだ行かないで・・・!
【ホテルの噴水】
アラジン:お母さん、見て!お姉ちゃんが凧をあげてる!
アーニャ:ジョシュ、見て!
ジョシュ:ホリーがこれを見たら喜ぶぞ!
アーニャ:あなたのためにこの凧をあげてるのよ、ホリー。私の親友。
アーニャ:ねえジョシュ。ホリーは最後にさよならを言う前に、あなたに何か言ってたわよね。聞いてもいい?
ジョシュ:約束してほしいって。
アーニャ:なんの約束?
ジョシュ:一生、きみのそばにいるってこと。なにがあっても。僕はきみのそばにいる。
アーニャ:私も、ずっとあなたのそばにいるわ、ジョシュ。愛してる。
ジョシュ:僕も、とてもとても、とても愛してるよ、アーニャ。
(ホリー:運命には逆らえないなんて、うそだわ。それは凧をあげるようなもの。凧を空高く昇らせるのは風だけじゃない。凧糸を握る、そのひとの腕にもかかっているの。)
-完-
2012-04-15 21:50
コメント(2)
Grayさん、25話もの長いドラマもとうとう最後まで訳して下さって有り難うございました。Grayさんの日本語訳によって(やっと今頃になって)Joshが浮気者でもない事が良~くわかりました。(*^_^*) すべての登場人物の細かい事までわかって本当に楽しめました。DVDが出たら又この訳文を頼りにします。有り難うございました。(^O^)/
デヴィッドが行ってしまってまだ一月にもならないのに、ForevermoreのCDを聴く度に、AIを観る度に、いない寂しさが日増しに募ってます。
by mokk (2012-04-16 22:54)
mokkさん
そうこのドラマ、表面だけで見てると、
3人がくっついたり離れたりでオイオイって感じですが、
じつは3人の気持ちは、それぞれずっと一貫してるんですよね。
脇役たちもなかなか存在感がありました。
DVDで別の英語字幕がついたら、この訳文とまたぜんぜん違ってくるかも・・・
適当にやったのがばれてしまう。恐ろしい(^_^;)
いよいよ、本格的に喪失感がせまってきました。
しばらくは私、生きる屍と化します・・・。
by Gray (2012-04-17 22:16)